若者の2割が“生理の貧困”経験 活動団体「#みんなの生理」が明かす実情

丸川男女共同参画担当相

経済的な理由により生理用品を買うことが困難になる「生理の貧困」が世界中で問題となっている。新型コロナウイルスの影響でアルバイトができなくなるなどして、生理用品を買うのが困難だと感じている学生が増えており、節約のために生理用品の交換頻度を減らしたり、トイレットペーパーで代用するなど、問題は深刻化している。こうした生理に関する悩みをなくそうと様々な活動を行っている団体「#みんなの生理」が実情を明かした。

丸川珠代男女共同参画担当相は先日行われた参院予算委員会で、経済的な理由で生理用品を購入できない女性や子供について「新型コロナウイルス感染拡大で女性が特に影響が大きい」とした上で「海外では無料配布などの例もある。文部科学省や厚労省と連携しながら今後、何ができるか検討したい」と話した。

英スコットランド地方では昨年、世界で初めて生理用品の無料提供を定める法律が成立した。経済的負担をなくすことが目的で、学校や公共施設で、生理用品を必要とする全ての人に無料で提供される。

生理用ナプキンの値段はほとんどが20枚から30枚入りで200円から300円台。交換の目安は1時間に1回とされており、生理期間の長さにもよるが、毎月かかる費用は一般的には1000円程度だと言われている。

決して高額ではないが、それすらも十分に賄う余裕がない人が増えていることが問題なのだ。

すべての人の生理に関するニーズが満たされ、どんな人も自分らしく暮らせる社会の実現を目指して活動を行う「#みんなの生理」は昨年、大学生らによって結成された団体。現在は大学を卒業した社会人と学生の5人が在籍している。

同団体が実施したアンケートでは、金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者が20・1%、同理由で生理用品でないものを使ったと答えた割合が27・1%、生理用品の交換頻度を減らしたと答えた割合が37・1%だったことが分かった。

同団体の一員で国際基督教大学(ICU)4年生(今月卒業予定)の塩野美里さんは「生理の貧困だけでなく、重い生理痛を抱える人への理解を深めるなどして、生理で悩む人を減らしたい」と話す。

アンケート調査などのほかに、生理用品を軽減税率の対象にするための署名活動も行っており、現在4万6000人以上の署名が集まっているという。既に公明党の議員にも提出しているというが、塩野さんは「税に関することだから、なかなか難しい。でも、興味を持ってくださる議員さんもいるので、その方たちと共同して何かできればと考えている」と語る。

また、塩野さんらは先日、ICUの他団体と共同で、同大学にあるジェンダーレストイレで無料生理用品の設置を実施した。

「はじめ、自分たちで用意した生理用品を各個室に設置していたが、生理用品を寄付したい人も入れられるようにしていたので、必ずしも取っていくだけではなく、少し増えたりすることもあった。さらに、性別にかかわらず誰でも入ることができるトイレにナプキンを設置したことで、普段生理用品を見ることがない男性の目に触れる機会にもなり、知識の提供につながった」と手応えを感じている。

これからは、生理の問題をジェンダーレスで考えられる社会づくりが求められている。

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