交通手段シフトで死亡・重症率減少、筑波大学が地域レベルで初実証

自転車通学の中学生が豪雪期間中に公共交通機関や自家用車に交通手段を切り替えることで交通死亡・重傷率が68%低下することを、筑波大学医学医療系の市川正雄教授、米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院の稲田晴彦研究員らの調査で分かった。交通手段のシフトが死傷事故減少につながるとされているが、地域レベルで実証したのは初めてという。

筑波大学によると、市川教授らは2004年から2013年に発生した通学中の中学生の都道府県別死傷データから、月間1メートル以上の降雪となる豪雪地域の都道府県で自転車通学が困難になる時期の交通死亡・重傷率の変化を分析した。

その結果、豪雪時には自転車の交通死亡・重傷率がほぼゼロとなり、自転車と歩行者を合計した交通死亡・重傷率が68%下がっていることを突き止めた。市川教授らは通学に使う交通手段を公共交通機関などより安全なものに切り替えることにより、交通死傷事故を大きく減らせるとみている。

世界では交通事故により、毎年130万人以上が死亡し、5,400万人以上がけがを負っているといわれている。日本では自転車通学する中学生の死傷リスクが高いことがよく知られてている。より安全な交通手段に切り替えることが死傷事故を減らす効果を持つと考えられてきたが、これまで国や地域レベルで実証した事例はなかった。

論文情報:

【Journal of Epidemiology】Reduced road injuries while commuting due to heavy snowfall and ensuing modal shifts among junior high school students in Japan

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