「ジャックの塔」開港記念会館、大規模改修へ 横浜市、21年度から着手

大規模改修が予定されている横浜市開港記念会館=横浜市中区

 横浜市民の寄付金で大正期に開館し、1989年に国の重要文化財に指定された「横浜市開港記念会館」(同市中区)が、2021年度から大規模改修に着手する。屋根ドーム群の屋根飾りなどで破損が見つかっており、市の担当者は「誕生から100年以上がたっているが、今後も大切に保存していく。横浜のシンボルとして末永く利用してほしい」と話している。

 同館は1909(明治42)年の横浜開港50周年を記念し、市民からの寄付で建設された公会堂。17(大正6)年7月に開館した。地下1階地上2階建て塔屋付きで、赤れんがと花崗岩(かこうがん)をとりまぜた建築様式の「辰野式フリークラシック様式」を採用している。

 通りに面した三つの隅に時計塔、角塔、八角塔を配しており、中でも高さ約36メートルの時計塔は「ジャックの塔」の愛称で市民に親しまれ、神奈川県庁(キング)、横浜税関(クイーン)とともに横浜三塔を形成している。

 市は、2009~10年に外壁補修や講堂内部の改修などを実施したものの、近年は天井や壁の漆喰(しっくい)が剝がれるなど劣化が進んでいた。屋根ドーム群の屋根飾りなどで破損が見つかったため、市は大規模改修に向けた調査を進めていた。

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