身近な外出の足 地域に根付くか 南足柄で乗合タクシー実証実験

乗合タクシー「おでかけ号」を利用する女性=南足柄市竹松

 バスなどの公共交通が不便な地域を支援しようと、南足柄市の福沢地区で予約型乗合タクシーの実証実験が始まった。同地区から市役所や駅などへ地域住民らを運ぶ。市の担当者は「利便性を高めるため、ぜひ乗車して意見を寄せてほしい」と呼び掛けている。31日までは無料で利用できる。

 乗合タクシー「おでかけ号」の実証実験は2月15日からスタート。同地区19カ所の乗降場所から、伊豆箱根交通のタクシーに最大3人が乗り合い、市役所や大雄山駅、スーパーなど7カ所の目的地に向かう。約4キロ先の目的地もある。祝日を除く月曜日から土曜日、午前9時発から午後4時半発まで1日最大4便が往復する。電話予約が入ったときのみの運行で、4人以上の予約がある場合は複数台を運行する。

 市高齢介護課によると、同地区の住宅街には乗り入れるバス路線がないことが課題で、解決に向け市は2019年から住民と意見交換を重ねてきた。コミュニティーバス導入も検討したが、常時利用者がいなければ事業が成り立たないことなどから、予約時のみ運行する「デマンド型交通」の導入を決めた。

 新型コロナウイルスの影響で予定より遅れての実施となり、1台当たりの乗客数を3人までに減らすなど感染防止策も取った。開始から2週間、高齢者を中心に1日1、2便の利用があるという。

 同市千津島の瀬戸米子さん(84)は自宅近くの千津島公民館から同市竹松の道の駅「足柄・金太郎のふるさと」までの往復で利用した。「運転手さんも親切で快適だし、初めて道の駅に来られて良かった」と喜んだ。「料金が多少高くなっても良いので、足柄上病院(松田町)なども目的地に増やしてくれたら」と期待した。

 実証実験は9月までの予定で、4月1日からは大人300円、子ども150円で運行する。同課の渡辺修課長は「新たな移動手段として、将来的には他地区にも広げていきたい」と話している。

 予約など問い合わせは同交通小田原営業所電話0465(35)0818。

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