師匠譲り? 楽天・石井監督の卓越した“選手発奮法”に他球団警戒

見た目はノホホンとした雰囲気だが

開幕を間近に控え、楽天・石井一久監督(47)の選手発奮法が冴え渡っている。

石井監督と言えば、現役時代から明るい性格で知られ、常に表情は笑顔のイメージが強い。その印象どおり監督就任後、一度たりとも声を荒げたり、激怒する姿を周囲に見せていない。選手に苦言を呈する際にも言葉を選びながら丁寧に説明。報道陣に対しても「あまり(選手のことを)悪く書かないでね」と念を押すなど、選手への接し方や助言には気を遣っていた。

だが、チームが期待する選手や伸び悩む選手には厳しい言葉で奮起を促すこともある。そんな姿勢を見せたのが16日のオリックス戦後だった。チームの主将で今季は中心選手として期待がかかる茂木栄五郎内野手(27)がオープン戦19打席目で初安打を記録した。試合後に指揮官はこの話を報道陣から振られると、喜ぶどころか厳しい口調で「もうちょっと自覚を持ってほしいですね」とゲキ。その上で「打線の中で自分がキーマンだというところを自覚した中で成績を出せれば、もう一つ選手としてのレベルというか格が上がる。あえて、プレッシャーをかけるじゃないですけど(茂木は)ノルマをクリアしていってほしい」と珍しく感情を出しながら注文を付けた。

すると翌17日の同カードで茂木は指揮官の期待に応えるかのように1本塁打を含む3安打4打点と大活躍。チームの大勝に大きく貢献したのだから「石井流選手発奮法」は効果テキメンなのだろう。他球団の関係者もその効力をこう警戒する。

「石井さんは現役時代、選手操縦術に長けたノムさん(故・野村克也氏)のもとで成長しましたから。選手の実力を引き出すには褒めるべきなのか、厳しく言うべきなのかなどを、ノムさんのもとで学んだはず。それが今、監督になって生きているのでしょう。見た目はノホホンとした雰囲気ですが、実は勉強家でもありますからね。ある意味で怖い存在ですよ」

外見からは想像できない石井監督の指導者としての能力。やはり今年の楽天は一味違う。

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