日本シリーズMVPもスタメン落ちの危機? 栗原か上林か、悩ましい鷹の右翼手争い

ソフトバンク・栗原陵矢(左)と上林誠知【写真:藤浦一都】

昨季台頭した栗原か、オープン戦でアピール続ける上林か

■ソフトバンク 2-1 DeNA(オープン戦・17日・PayPayドーム)

17日にPayPayドームで行われたDeNAとのオープン戦。同点で迎えた9回、勝負を決めたのはソフトバンクの上林誠知外野手のバットだった。

四球で出塁した長谷川の代走・谷川原を二塁に、松田を一塁に置き、打席に立った上林。2ボール2ストライクからの5球目、DeNAの6番手・伊勢が投じたストレートを捉えると、打球は左中間に飛んだ。二塁走者が一気に生還。見事なサヨナラ打となった。

オフにレッズの秋山翔吾外野手の自主トレに参加し、逆方向への打球の意識を強めた。キャンプ、オープン戦と継続して、これに取り組んできた。この一打はまさにその成果が詰まった左中間への打球。「1打席目からボールへの入り方、見え方がよかった。最後の打席も自信持って打席に入って結果サヨナラタイムリーを打ててよかったです。キャンプからやってきたことを出せて良かったと思いますね」と振り返った。

キャンプ、オープン戦と継続してアピールしている上林だが、チームにとっては、ここにきて“悩ましい”問題が浮上してきている。右翼手の開幕スタメン争いだ。

右翼手の候補となるのは上林と、そして昨季ブレークを果たし、日本シリーズMVPにもなった栗原陵矢捕手の2人。栗原は一塁や左翼もこなせるが、そこには中村晃外野手やアルフレド・デスパイネ外野手、ジュリスベル・グラシアル内野手ら主力がいる。まだ実戦に復帰していないグラシアルが開幕に間に合わない可能性も拭い去れないものの、実質的にはこの2人が右翼の座を争うことになる。

工藤監督「最後はどっちになるのかというのはあります」

上林はここまでオープン戦打率.294と主力選手の中ではチームトップの打率を残し、2本塁打もチーム1位タイ。かたや、栗原はここまで打率.206と振るわないものの、昨季チーム2位の73打点を叩き出した実績がある。首脳陣としても、2人を共に起用したいだろうが、ポジションには限りがあるというのが現実のところだ。

工藤公康監督はこの日の試合後に「最後はどっちになるのかというのはあります。今年は(小久保)ヘッドに任せているところもある。話はしますけど、ヘッドがこれでという思いがあるなら、そういうところも打順の中で悩んで決めてもらえれば」と語る。野手の構成は基本、小久保裕紀ヘッドコーチに一任している。はたして導き出される結論はどうなるか。

「全試合出るつもりでやってますし、ただ、他のことは気にしていなくて、毎日の試合の中でどれだけベストを出すかということだけを考えています。他のことを考えると雑念が入ってしまっていい結果に結びつかないので、集中して試合に臨むだけだと思います」と上林は言う。3月26日のロッテとの開幕戦。開幕スタメンとして右翼に入るのは、上林か、栗原か。

【動画】開幕スタメンに向けてアピール続ける上林の巧みなバットコントロール集

開幕スタメンに向けてアピール続ける上林の巧みなバットコントロール集【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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