【体操】五輪女子団体選考は本部長の「推薦」が可能に 一昨年前の〝村上騒動〟が教訓

村上茉愛

日本体操協会は18日、臨時常務理事会をリモートで開催し、東京五輪の女子団体メンバー4人の選考基準を承認した。

4月の全日本選手権(予選、決勝)、5月のNHK杯の計3試合の個人総合得点から上位3人が決定。残り1人は「チーム貢献度」で選出され、その条件は優先順に以下の通りだ。

(1)女子強化本部長による推薦

(2)前述3試合の8位までの選手で、決定した3人とチームを組んだ時に合計点が最も高くなる選手

(3)前述3試合で決定した3人の次点選手

特筆すべきは優先順位が最も高い(1)だ。具体的には「東京五輪に関わるすべての予選競技会の成績を参考にする」と記され、チームに必要な選手が落選しそうな際の〝救済〟としての役割を果たす。

この項目を設定した理由について、田中光女子強化本部長(48)は「2019年に村上茉愛選手を不測の事態で代表に入れられなかったので」と話す。

同年5月、日本女子エースの村上はNHK杯をケガで棄権。これによって同年の世界選手権代表から漏れてしまった。その後の理事会ではエース村上の救済措置の是非を巡って1時間半の激論。最終的に「後付け選考はあってはならない。過去には特別な選出でチームワークに問題が出た」との意見でまとまったが、この〝村上騒動〟は代表選考を巡って大きな波紋を広げることになった。

今回の項目を設定したことで、東京五輪は実力者を堂々と救済できる。なお、「推薦」の項目を最優先したことについて田中本部長は「最後の1行くらいに記しておく案もありましたが、これを使う場合は先に持ってきた方が効力があるだろうというのが理由です」と説明した。

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