【新型コロナ】「客増えるはず」「むしろ怖い」 宣言解除、飲んべえの街は期待と不安交錯

緊急事態宣言の解除前でも多くの客が行き交う仲見世通り=18日午後6時半ごろ、川崎市川崎区

 首都圏1都3県で新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除が決まった18日、神奈川県内の飲食店や観光事業者らに、期待と不安が交錯した。客足が戻ることで経済に弾みがつくと準備を急ぐ一方、「緩み」による感染再拡大を警戒する動きも。依然として収束が見通せない現状に、支援を求める声も相次いだ。

 飲んべえの街に酔客の姿は戻るのか─。県内屈指の飲み屋街・野毛でとんかつ店を営む男性(65)は、「営業時間が午後9時までになれば、野毛に来ようと思う客が増えてくれるはず」と期待する。

 2カ月半の時短営業で月の売り上げが普段の3割ほどに落ち込むなど苦しんできただけに、客足が戻ることへの期待は少なくない。

 ただ、「人出が増えて感染が再び拡大することが心配。むしろ怖い気持ち」とも明かし、気の緩みによるリバウンドを懸念する。

 野毛飲食業協同組合の理事長も務める男性は、バブル崩壊やリーマン・ショックなどの危機を乗り越えてきた野毛の“底力”を信じながらも、「今回は感染リスクが要因で、深刻さは過去に例がないほど。県や市は支援を継続してほしい」と訴えた。

 「しばらくは金・土曜の週末だけ店を開けようと思う」。JR川崎駅近くでダイニングバー「シーハーズ」を経営する男性(65)も複雑な胸中を明かす。

 1月から休業していた店の営業を22日に再開する予定だが、「店を開ければ我慢して鬱憤(うっぷん)がたまっている客が大勢来るだろう」と予想する一方、「客が集まる分だけ感染拡大への不安が増していく」との懸念も募る。アクリル板の導入や入場制限などで感染防止策を進める考えだ。

 川崎駅前仲見世通商店街振興組合の理事長の立場では「解除後に営業を始める店と始めない店、二手に分かれるのではないか」と指摘。協力金などが一定の支えになっている店の中には休業を継続するケースも少なくないとみて、県には現場の状況に応じた支援の継続を注文した。

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