横浜の中学校 「原爆の子の像」モデル佐々木禎子さんのおい講演

禎子さんに思いをはせ、作曲した「INORI」を披露する佐々木祐滋さん(右)=横浜市港北区の市立大綱中学校

 横浜市港北区の市立大綱中学校で18日、平和講演会が開かれた。広島市の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子さんのおいで、シンガー・ソングライターの佐々木祐滋さん(50)を招き、戦争の悲惨さや命の尊さについて学んだ。

 同校では8月に修学旅行で広島県を訪れる予定で、2年生約280人が事前学習の場として耳を傾けた。

 禎子さんは2歳の時に広島市内で被爆。その影響で10年後に白血病を発症、12歳で亡くなった。闘病中に千羽折れば元気になると信じて作り続けた折り鶴はその後、平和への願いの象徴として世界に広まった。

 禎子さんへの思いを歌に乗せて表現している祐滋さんは、20年にわたって各地の学校で講演活動を続けている。

 この日は、禎子さんが息を引き取る間際に「おとうちゃん、おかあちゃん、みんなありがとね…」と口にしたエピソードなどを紹介。「戦争で生きたくても生きられない人たちがいた。まずは生きていることに感謝すること。そこから平和をつくることは始まる」と語り掛けた。「いじめがある限り、戦争はなくならない」と他者を傷つける行為が、日々の平和を阻むことにつながるとも訴えた。

 聴講した吉竹銀士さん(14)は「(被爆について)身近な存在の人が話してくれて心に響いた」と感想を述べた。中尾瑚子さん(14)は「戦争の悲惨さを私たちが後世に伝えていくためにも、しっかり学んでいく必要があると思う」と話した。

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