【新型コロナ】東京都での第4波防止には「1日約7万人ワクチン接種が必要」 専門家がシミュレーション

 コロナ禍を克服する切り札としてワクチン接種が急がれているが、人工知能によるシミュレーションの専門家が、変異株感染拡大の状況を踏まえたシミュレーションの結果として「東京都では1日約7万人にワクチン接種する体制」が感染抑止に必要であることが分かったと発表した。

南ア・ブラジル型変異種拡大ならそれでも防げないと予測

 シミュレーションの結果を発表したのは、人工知能によるさまざまな分野の予測モデルを研究する筑波大学大学院 ビジネス科学研究科の倉橋節也教授。内閣府が実施しているプログラム「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」の一環として、変異株の拡大局面にあることを踏まえたワクチン接種の効果をシミュレーションした。

 具体的には、東京都における3月21日時点の英国変異株の検出数を10人と想定し、その後の6月1日以降の実効再生産数が昨年同時期と同じだと設定した場合に、感染拡大防止に必要な1日あたりのワクチン接種数を算出した。

 結果、感染拡大を防ぐには、1日あたり人口の0.5%に相当する数のワクチン接種数が必要なことが分かったという。東京都の人口に当てはめて実数を計算すれば1日あたり7万人弱の数字となる。他方、同じ3月21日時点で南ア・ブラジル型の変異株の検出数が10人だった場合、このワクチン接種数をもってしても感染拡大は防げず、今年10月最終週には少なくとも1日あたり1万人以上の新規感染者数になるとしている。

 シミュレーションではこの他、59歳以下のグループが60歳以上に感染させる割合が、その逆の場合と比べ5倍もの差があることなども示している。シミュレーションの詳細は、内閣府のWebサイトで公開されている。

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