佐古忠彦監督、満席に感極まり涙 沖縄戦時の県知事・島田叡追うドキュメンタリー 東京での上映スタート

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太平洋戦争中最後の沖縄県知事となった島田叡を追ったドキュメンタリー映画「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」が、先行公開された沖縄に続き、本日20日に東京での劇場公開初日を迎えた。東京・渋谷のユーロスペースでの初回上映後に舞台あいさつが行われ、佐古忠彦監督が登壇した。

新型コロナウイルス感染対策で定員の半分ではあるものの、館内は満席。舞台上から客席を見た佐古監督は、感極まって涙を流す姿を見せた。口を開いた佐古監督は、「つい、こみ上げてくるものがあって、お恥ずかしいところをお見せしました。沖縄に続き、ようやく東京での公開にこぎつけることができ、ありがたく思っています」と感謝の言葉を口にした。

さらに、「この作品で描いたことの一つにリーダー論があります。今のコロナの時代、リーダーの決断一つで私たちは右往左往させられるわけですが、当時、苦悩していた島田知事や牛島司令官の姿から、リーダーとはどうあるべきか、ということが見えてくると思います。もう一つは官僚の在り方ですね。組織と個の関係、結局最後に試されるのは、組織の中にあっても、その人の信念や覚悟、個人がどうするかということにかかってくるのだと思います。今の悩み多き時代、決して昔ばなしではない、今日的なテーマが含まれていると思います」と、作品に込めた思いを明かしていた。

「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」は、捕虜になるよりも玉砕こそが美徳とされた時代に、周りの人々に何としても「生きろ」と言い続けていたという島田に迫った作品。監督は、ドキュメンタリー映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」2部作で注目を集めた佐古忠彦が務め、知られざる沖縄戦中史にスポットを当てる。全国で順次公開される。

【作品情報】
生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事
2021年3月6日(土)より沖縄・桜坂劇場 先行公開 3月20日(土・祝)より東京・ユーロスペースほか全国順次公開
配給:アーク・フィルムズ
ⓒ2021 映画『生きろ 島田叡』製作委員会

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