博多座に「魔界転生」が帰ってくる! 天草四郎役の小池徹平、演出の堤幸彦が意気込みを語る

福岡市博多区にある博多座の4月公演「魔界転生」(4月16~28日)で、天草四郎役を演じる小池徹平と演出を担当する堤幸彦氏が来福。作品の見どころや意気込みを語った。

原作は山田風太郎の伝奇小説で、1981年の映画化以降、舞台、漫画・アニメ、ゲームなど数多くリメークされてきた名作。2018年に上演された舞台作品は、博多座を皮切りに東京、大阪で約10万人の動員を記録した。今回はその再演となる。

魔界からよみがえった剣豪に立ち向かう主人公・柳生十兵衛役は、初演に続いて上川隆也が務め、十兵衛らに立ちはだかる最大の強敵・天草四郎役には新たに小池が起用された。天草四郎の姉・お品役にも藤原紀香が今回から抜てき。ほか、黄泉(よみ)の世界からよみがえった淀殿役を浅野ゆう子が、十兵衛の父・柳生宗矩役を松平健が再び同役を演じ、豪華キャストが顔をそろえることに。演出は前作に続き堤氏が手掛け、脚本はマキノノゾミ氏が担当する。

今回も派手なアクション、変幻自在なフライング、LEDによる映像効果を駆使し、演劇と映像を融合させた演出で、感動の人間ドラマ、魅惑のエンターテインメントを展開する。

コロナ禍での上演について、堤氏は「前回は、思いのたけを入れ込みすぎて時間的に長い舞台になってしまった。今回はコロナ禍ということもあり、時間を短くし、かつ人と人との距離感を考慮しながら、時代の要請にも応えうる強力なエンターテインメントづくりをしたい。キャストは大幅に一新したため、ほぼ新作に近いものがある。表現も、大きな映像を映し出す移動可能なワゴンがたくさん出てくる。できるところは省略化しつつも派手に見える演出をしたい」と自信をのぞかせる。

取材会の前日、2人は劇中描かれる島原の乱が繰り広げられた長崎県島原市や、天草四郎ゆかりの熊本県天草市を訪問。原城や天草四郎ミュージアム、墓所などを巡ったという。小池は「自分が演じる役のルーツを探る旅を、演出の方と一緒に巡る機会は貴重。実際のものを目にすることには重みがあった。(この日)初めて堤さんとお会いし話をしていく中でも、天草四郎として自分の中で膨れ上がっていくものを大きく感じた」と思いを明かした。

小池のキャスティングについて、堤氏は「天草四郎は純粋であることが大事。だからこそ“悪”にも純粋になれる。それでも、心の芯では悪魔に転生しても愛や人との信頼、人々の苦しみを背負った事実などは忘れられない。そういう二面性のある役だからこそ、小池さんのようなストレートでピュアな部分が必要」とし、一方の小池も「昨日今日で天草四郎の純粋さをより感じた。少し飾った部分もありながら、幼さや人を引きつける魅力もある。いかにミステリアスさ、妖艶さを表現できるか、稽古で自分なりの天草四郎を作り上げていきたい」と気合をみなぎらせる。

小池は、共演するキャストについて「上川さんとの共演は初めて。前回も出演されていましたし、稽古場ではいい意味で甘えつつ、自分には厳しく頑張りたい。紀香さんは普段から“のりねぇ”と呼ばせてもらうほど、自分にとって気心知れたお姉さん的な存在。設定的にも愛情が入りやすく、役に入る一つの要素としては助かっています」と語った。

取材会の最後、堤氏は「九州の皆さまに楽しんでいただきたい。コロナのつらい状況から、少しでも春が来たなと思っていただけるような面白いそして温かく強い、そんな舞台をキャストスタッフ一同で作り上げていきたいと思います。ぜひ博多座(公演を)楽しみにしていただきたいです」とコメント。小池は「必ずパワーアップした『魔界転生』をお届けしたいと思っております。まずは初日を迎えられるようキャスト・スタッフ共々気を付けて、安心して劇場に来ていただける作品にしたいなと思っておりますので、遊びに来ていただけたらうれしいです」と締めくくった。

公演は、福岡のほか、愛知(4月7日~)、東京(5月4日~)、大阪(6月2日~)での上演が決定している。博多座公演のチケットは現在発売中。

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