キートン山田が「ポツンと一軒家」ナレーションを卒業。「これからも見続けます 」

キートン山田が、声優業を引退するにあたり、テレビ朝日系で放送中の「ポツンと一軒家」(日曜午後7:58=ABCテレビ制作)の番組ナレーションを、3月28日の放送で卒業。山田が番組への思いを語った。

同番組は、日本各地の人里離れた場所に、なぜだかポツンと存在する一軒家にどんな人物が、どんな理由で暮らしているのかを徹底調査しながら、その住人の人生にも迫っていくバラエティー。

収録を終えた心境を聞かれると、山田は「まだ終わった感がないんです」とコメント。続けて「3月28日のオンエアを見てからでしょうね。28日の夜は『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)を見て、その後に『ポツンと一軒家』を見て、そこで“終わったかな”と感じるかどうか、でしょうね」と、同日に同じくナレーションを卒業する国民的アニメにも触れ、その胸中を明かした。

前身番組「人生で大事なことは◯◯から学んだ」のワンコーナーから誕生した同番組については、「すごくインパクトがありましたよ。他の番組にはない“この世の中に逆行した番組”ですから、最初から乗り気でした(笑)。僕は、生まれが北海道の山奥。小学校の頃は炭鉱の入り口にある、それこそ“ポツン”とある家に暮らしていたんです。水道も井戸もなくて、沢水をバケツで運ぶのが僕の役割で、お風呂に水を貯めるために何度も運ぶんですよ。そんな暮らしをしていたので、この番組に出てくる暮らしぶりには共通するところもありますし、懐かしさも感じるんですね」と、番組に対する共感と愛情を語った。

また、「作り物ではないありのままの自然の映像をそのまま映し出しているので、映像にすごく力があるんです。都会で暮らしていると風や雨や空の色なんかを感じることが少ないじゃないですか。でも映像には鳥の声も川のせせらぎの音も聞こえてくる。特に今の時代はそんな自然の中に行けないような方々も見ていると思うんです。ナレーションがなくてもいい部分もいっぱいあるなあと感じていましたね。僕は収録に入るまで映像を見ないでぶっつけ本番で話すんです。だから感動、感激しながら、心奪われてナレーションを忘れることもありましたよ」と、番組の魅力とともに、今だからこそ話せる収録エピソードを披露。

「ただ、ナレーションは飾らず装飾しないことが大事なんです。なんたってこの番組は映像が中心ですから 、僕の感動はなるべく出さないようにしてました。僕が感動しているのをお見せするのではなくて、見ている人が感動するわけですから。僕自身は感動の起伏を出さないようにしていましたが、どうしても出ちゃうので、抑えるのが大変でした(笑)。映像の魅力がしっかりと伝わることを心がけながら、だけど自然に気持ちが出る部分はそのままにしゃべっていました」と話し、そこからは長年声優として活躍してきたベテランの矜持が垣間見えた。

そして、最後に「近所の方々もよく番組を見てくださっているんです。視聴者には高齢者の方も多いと思うのですが、若い方にも影響を与えているんじゃないかなあと思います。番組を見ていても、若い方がポツンと一軒家に移住して生き生きと暮らしていたり、何百年も代々続く家にお孫さんが遊びに来ていたりね。世の中に逆行している番組ですが、小細工のない偉大なるマンネリが喜ばれるとても貴重な番組だと思います。皆さん毎回本当に楽しみにされているので、作り手の皆さんにはこのまま続けていただければと思います。50年以上この世界でやってきて、最後の最後にいい番組に出合えたという感謝と喜びを感じています。僕が幼少期に生まれ育った環境がそのまま出てきて、感動しながらナレーションができるなんて、こんなことってなかなかないですよ。本当に幸せものだと思います。ナレーションは変わりますが、これからも皆さんには見続けていただきたいと思います。僕も見続けます」とメッセージを送っている。

© 株式会社東京ニュース通信社