【中西学の月刊野人通信(最終回)】東スポＷｅｂ読者の皆さん、いかがお過ごしですか。この連載も今回が最終回になりました。ちょうど引退してから１年、改めて振り返ってとんでもない時代になってしまったなあって。俺の引退試合の時のような、超満員のお客さんが声援を送ってくれるような状態に戻るにはまだまだ時間がかかるんじゃないかな。あんまりネガティブなことばっかり言っても仕方ないんやけどね。
俺自身の活動も全然思い通りにならないというか。芸能活動にしても、芸人さんやタレントさんの仕事も減ったわけで、みんなリモートでやってるわけやんか。テレビ出てた人も思い通りにいかへんから、そら俺だって思い通りにはいかへんわなってのは思うんやけど、それでも何かやっていけることを見いだしていかなあかんよな。
以前は定時制高校の生徒の前で講演会もやらせてもらったし、俺の話を必要としてくれる人がいるならそういうとこ行ってどんどんやりたいよ。そうそう、テレビでも「俺の家の話」（ＴＢＳ系）っていうドラマで、長州力さんがプロレス団体の幹部としてやってるんでしょ？ なかなかああやってプロレスをクローズアップしてくれる番組はないやんか。ちょい役でもやらしてもらえたらうれしかったなあ…。俺に演技の才能があるかは分からないけど、やってみたいですよ。
実家の茶農家のほうも、思ったほどうまくはいってないですよ。苦労というか、まあお茶も生き物やから。調子のいい時もあれば悪いときもあるんやけど。だから芸能とかの仕事で、この年になっても本当にガンガン動いてやるからさ。自分にできる仕事っていうのを聞きたいんやけど、なかなか人と会うこともできんしな。現役復帰？ それだけはないわ。そんなに甘いもんじゃないでしょ。同世代の選手たちの活躍はもちろん刺激になってますし、それは他のステージで生かしたいと思ってますよ。
東スポＷｅｂ読者の皆さんも大変だとは思いますが、絶対に良くなると思いますので。ずっと雨とか嵐とかが続くわけではなくて、絶対に朝日が昇りますので。その時に皆さん、備えておいてください。自分もネガティブにならないで準備をしたいと思います。物事に真摯に準備をするっていうのは日本人の素晴らしい習慣だと思ってるので。俺もまた皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。１年間ご愛読ありがとうございました！ 仕事くれよ！（終わり）
☆なかにし・まなぶ １９６７年１月２２日生まれ。京都市出身。９２年バルセロナ五輪出場後の８月に新日本プロレスに入団し、同年１０月にデビュー。９９年にＧ１優勝、２００９年にＩＷＧＰヘビー級王座を奪取するなどパワフルなファイトスタイルで活躍。東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」では敢闘賞（９９年）と最優秀タッグ賞（１０年）を受賞した。２月２２日後楽園大会で引退。現役時は１８６センチ、１２０キロ。
