【インタビュー】池田エライザ、自分らしく生きる 歌も服も体も、ありのままに

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池田エライザ

女優・モデル、そして映画監督に歌手とマルチな才能を発揮する池田エライザ。何かに縛られることなく前を歩くその背中に「自分らしく生きる」姿勢が見える。多様化が求められる昨今、池田エライザの生き方は時代に則しているようにも見える。池田にとっての「私らしさ」、そして、原動力は何か。

サステナブルファッション

2月28日、『第32回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2021 SPRING/SUMMER』のステージにいた。まばゆい光を浴び、キリッと目線を前に向けてランウェイを歩いていた。

昨年は女優としての活動に加え、映画監督や歌手などマルチに活躍した。表現者としてだけでなくアーティスト、クリエイターとしての才能を振るっている。そんな彼女の歩みは、ファッションモデルから始まった。いわば、ファッションショーは彼女のホームのようなものだ。

今回のTGCはコロナ禍で第30回から引き続き無観客、オンライン配信で繋いだ。ファンと現地で会えなくても心の繋がりは変わらない。「配信で皆さんのコメントを見ながらやっていたので、目には見えないけど一緒にTGCという祭りを楽しんでいる感覚でした」

ファッション業界では、環境に配慮した「サステナブル」がトレンドになっている。池田エライザ自身は以前から、そうしたものを意識的に取り入れてきた。

「毎回発表されるデザイナーのコンセプトを知った上で買うようにしています。洋服が使い終えたあとに土に返ったり、使われる素材がそうしたものに配慮しているかは私にとっては重要なことで昔から習慣化しています。H&Mなどはかなり以前から取り組んでいて、最近になって様々なブランドが力を入れるようになり、今ではオンラインストアでも明記されるようになっています」

こうして注目されるようになり、発信者の一人として喜ぶ。

「大きなブランドが変わっていくことで、ファストファッションもティーンファッションも取り入れやすくなると思います。今は廃プラスチックから繊維に変える技術もありますし、そうした技術が高まり普及すれば、より作りやすい環境にもなっていくと思います。ローラちゃんも活動していますが、デニムを買ったら木を1本植える活動もあり、そうした活動が「地球のため…」と意識しなくても自然にできるような当たり前の世界になったらいいですし、気持ち良く買い物ができたらいいなと思います」

自分らしい体

そんな池田エライザは、前回の第31回の終わりにSNSに「TGCに向けて頑張ってダイエットしようかなともおもったのですがそれも個性だと諦めました」と綴ったことが多くの共感を呼び、話題になった。

「私の場合、ダイエットすると体調を崩します。フラフラしたり、気絶することもありました。もともと洋服が似合うようなスラっとした体にしたいと頑張っていきましたが、痩せたいところだけを痩せるのは難しいし、親からの遺伝でもあるし。皆の前で歩く私が過度なダイエットをしたらおかしいかなと。発信する者としてそれはあまり正しいことではないのではないかと思いました。まだ、心のどこかではほっそりとした体型になりたいという気持ちもありますが、健康が一番ですからね。私にとっての一番調子が良いところでキープしています」

自分に合ったスタイル。それも「私らしさ」の一つかもしれない。多様化の昨今はその人の個性や心への配慮、理解が求められる。しかし、見た目で判断されてしまうことはある。芸能界ならなおさらだ。

「モデルの子たちは皆、その容姿やスタイルから派手に見られることへのコンプレックスを持っているように感じます。そんな派手だと思っている人に毎回『違いますよ』と言い続けないといけない。でもそう繰り返していくうちに自分の事が分からなくなっていくんです。私たちの世代が、自分の事が好きでいられるように体現していきたいと思っています」

池田エライザ自身はどうなのか。「私ですか?

私はポニョポニョしているタイプです」と照れくさそうに笑うが、こう続ける。

「怖いと見られがちですが、怖くないですし、しっかりもしていない。それが私かなって思っています。たまに悩んでいそうな顔とも言われるけど、『毎日感謝しています!

幸せです!』と言いながら寝るタイプ。私はハッピーの塊ですよ。私の周りはハッピーです!

怒ったりもしないし、普通の元気な人です」

池田エライザの言葉から伝わってくるのは「自然体」。良い所も悪い所も全て受け入れ肯定する、それを含めての「私らしさ」。それは歌からも伝わってくる。

歌にも「らしさ」

池田エライザはある歌番組で「ぼくたちの失敗」(森田童子、ドラマ『高校教師』主題歌)を歌った。この曲を選んだ理由をこう語っていた。

「今のご時世心が弱っている人が多いと思います。私もそういう時期がありました。でもそれを否定するわけではなく、その時の匂いや光景を音楽として落とし込んでいるのがこの曲の素敵なところ。ネガティブなようでポジティブな前向きにしてくれる歌詞です」

池田エライザの奥行きのある歌声、そして夕焼け色に染まるシルエットも手伝って温かさに包まれるようだった。

「歌っている時は無意識に近いです。歌う前は緊張してギターを持っている手が震えているぐらいですから。私は、映画を見て良く泣きますが、私にとって歌はそれに近いのかなって」

ブルースやシャンソンなどは「半分演じて歌っている方が心は出やすいのでそうしています」というが、ポップスは「あまり私情をはさむことないです」と何かを意識して歌うことはないといい、歌詞を書いても他者の事のように捉えているという。「その方が聴いて下さる方も身を委ねやすいのかなって」

「歌手」だからといって着飾るわけでもない。まさに等身大。そしてギターが良く似合う。

歌手の母のもとで育った。小さい頃から歌が好きで、ギターも自然に弾き出した。池田エライザの歌声に同居する、温かさと寂しさは彼女がもって生まれた天性のようなもので、無意識ではあるが、「ぼくたちの失敗」を選曲した理由のように、失敗も苦悩も、弱みもマイナスも、同情的に逸らすのではなく全てを受け入れた上で肯定するかのようだ。それは池田エライザ自身の「私らしさ」に直結しているようにも感じる。

「無意識ではありますが、数パーセントの感情が歌に入ることはあると思います。それによってグッと世界に入りやすいのかもしれないですね。その感受性に共鳴してあるいは共感して心に寄り添えたら。聴いて下さる方の心がふわーっと動いたらいいなとは思います」

そんな池田エライザにとっての原動力は何か。

「それは応援して下さるファンの皆です。私の支えになっています。コロナ禍で会う機会はなくなりました。もともと1年1回イベントをやっていましたが、仕事を詰め込み過ぎたと感じることもあって。これまではファンの皆に付いてきてもらっていたという感じでしたが、今私たちは横並びで同列。チームのような感覚です」

大きな夢は?

「大きな夢は…ありません。ファンの皆さん、家族や友達、仲間を含めての原動力、そして夢は身近なところにあります。でも…欲を言えば…耐震性の強い家に住みたいです」 (おわり) 【取材・撮影=木村武雄】