巨人第三の捕手・炭谷銀仁朗が直面する打撃不振と相棒不在危機

正念場を迎える炭谷銀仁朗

G捕手陣の勢力図は…。巨人は21日にオープン戦の全日程を終了し、今季の骨格が固まった。開幕ローテーションも5番手までが確定済みで、その女房役も気になるところだ。今季も大城卓三捕手(28)が主戦捕手となることが確実で、昨季はケガに泣かされた小林誠司捕手(31)も攻守でアピール。一方で炭谷銀仁朗捕手(33)は〝相棒不在危機〟に直面している。

収穫大のオープン戦となった。腰の張りでチームを一時離れた坂本に一発が飛び出し、キャンプ終盤に〝プチ離脱〟した主砲の岡本和も復調。また、若手では内外野を守れる両打ち若林が2試合連続のソロアーチなどで頭角を現し、ベテランの中島やウィーラーも好調を維持したまま実戦調整を終えた。

開幕オーダーについて、原監督は「僕の中では、そこそこは決まっています」という。不明瞭なのは一塁と二塁、左翼の3ポジションだが、開幕バッテリーはエース・菅野と大城が最有力だ。その捕手陣では昨季に引き続き、長打力がウリの大城が主戦捕手となる見込み。先発投手のうち菅野を筆頭に戸郷、今村、井納、サンチェスの5人が当確で、開幕後を想定したオープン戦で誰よりも先発マスクをかぶってきたのが大城だった。

開幕ローテ投手の中で直近2試合以上でコンビを組んできたのは菅野と戸郷、サンチェスの3人。他にも6番手を争うドラフト1位ルーキー・平内龍太投手(22=亜大)や畠を主にリードしてきたのも大城だった。この日の今村とのコンビではうまく歯車がかみ合わず、原監督からベンチで配球面について〝公開説教〟を受けたが、これも期待の裏返しだろう。

また、昨季は2度の骨折でほぼシーズンを棒に振った小林も懸命にアピールした。打席数こそ多くなかったが、打撃向上を求められていた小林は、この日の三塁強襲の適時打を含め打率2割5分(8打数2安打)、2打点。この日、途中出場した7回以降は一人の走者も許さなかった。オープン戦で1登板だった井納ともコンビを組んでおり、巻き返す余地は十分ありそうだ。

この2人に水を空けられつつあるのが、今季が3年契約最終年の炭谷だ。最後にスタメンマスクをかぶったのは1週間前の14日の阪神戦(甲子園)。この時先発したのは開幕ローテ入りを確定できなかった3年目左腕の高橋だった。

古巣の西武では出場機会が減少し「新しい環境で勝負したい」と2018年オフにFA加入。昨季は出場56試合で打率1割8分に低迷し、球団側からも「打撃の数字が悪いから改善してくれ」と要求されていた。本人も「レギュラーを取る気持ちでやっていきたい」と燃えていたが、オープン戦は1割4分3厘(7打数1安打)の成績だった。

もちろん、長丁場のシーズンでは捕手陣に故障者が発生することも考えられる。炭谷のここぞの場面での経験や勝負強さは大きな力となるが、現状では小林に〝逆転〟を許している格好だ。高橋のローテ入りがかなわなければ、相棒が不在となる可能性もある。プロ16年目の今季は正念場だ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社