リーグ最多登板記録持つリリーバーから頼れる先発へ… 西武平井の課題とは?

先発した西武・平井克典【写真:宮脇広久】

昨季右打者に対する被打率は.239、左打者には.293

■西武 8-6 ヤクルト(オープン戦・21日・メットライフ)

西武の辻発彦監督は21日、オープン戦最終戦のヤクルト戦(メットライフ)終了後、「最後の登板になって、先発投手陣がとりあえず少し見えてきたというか、落ち着いてきた。ホッとしています」と胸をなでおろした。

この日先発した平井克典投手は初回、いきなり4番・村上にバックスクリーンへ先制3ランを被弾。6回にも2点を奪われ、5回2/3、8安打5失点で降板したが指揮官は2~5回の4イニングを1安打無失点に抑えて試合を作った点を評価した。平井自身も「初回の入りと、逆転してもらった直後の回(6回)、ここが反省点です。絶対に点を与えてはいけないところでした」としつつ、「自分の生命線である真っすぐもスライダーも今日は良かったので、その点は満足しています」とうなずいた。

平井は中継ぎとして2018年に64試合、2019年にはパ・リーグ最多記録の81試合に登板し、リーグ連覇に大きく貢献。昨季はローテの谷間の先発までこなした。プロ5年目の今季は29歳にして、自ら本格的に先発転向を直訴。実際にオープン戦で4回2安打無四球無失点(7日・ロッテ戦)、3回無安打1四球無失点(14日・オリックス戦)と結果を積み重ねた。

辻監督「左打者に対してどう攻め切れるか」

チーム防御率が3年連続リーグワーストと低迷している西武投手陣は、今季もコロナ禍で昨季開幕投手のザック・ニール、新外国人左腕マット・ダーモディに来日のメドが立たず、先発陣が特に手薄。一方、救援陣は守護神の増田達至をはじめ、昨季新人王の平良海馬、最速162キロのリード・ギャレット、2年目の宮川哲らが比較的安定し、結果的に平井の転向直訴は渡りに船となった。

平井の課題は左打者対策だ。昨季は右打者を被打率.239に抑えながら、左打者には.293と打ち込まれた。この日も、8安打中6本を左打者に打たれる形に。右サイドスローの平井のウイニングショットは鋭いスライダーで、右打者には有効だが、左打者には体に向かっていく曲がりとなり、空振りを取りにくい。チェンジアップなどに活路を見出そうとしているが、現状の精度はいまひとつ。辻監督も「左打者に対してどう攻め切れるか」と指摘する。

開幕投手の高橋光成、2年目左腕の浜屋将太に続き、平井は開幕3戦目の28日・オリックス戦(メットライフ)に先発することが濃厚。2カード目の日本ハム戦(札幌ドーム)は2連戦で、幸い先発ローテの1周り目は5人で済む。松本航、今井達也に次ぐ6枚目は、2年目20歳の上間永遠らが候補になるが、じっくり調子を見極めることができる。

強力「山賊打線」を味方につける西武の先発投手は、完璧とはいかなくとも、大量失点さえ防げば勝てる確率が高まる。これまで来る日も来る日もマウンドに立ち続けてきた平井の“まとめる力”に期待がかかる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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