阪神リーグ制覇もイケる? 「朝活」の変化で磨きかかった矢野監督の選手掌握術

就任3年目、勝負の年を迎えた阪神・矢野監督

オープン戦〝優勝〟の金看板を得て開幕を迎える阪神で、矢野燿大監督(52)の〝朝活〟が注目を集めている。本拠地・甲子園球場から車で15分ほどの距離にある二軍施設・鳴尾浜球場の視察自体は昨年までも行われていたが、今年は時間帯を大幅に前倒し。早朝から独自の視線で選手を見定めており、開幕以降も継続を望む声が上がっている。

オープン戦9勝2敗2分けと、矢野阪神は過去最高の状態でシーズンインする。就任3年目の今季、選手掌握術に変化が出ているともっぱらで、指揮官の「二軍の見方」が好評だ。

昨年までも甲子園球場でナイターがある際は、午前中から昼の時間帯まで同じ西宮市にある鳴尾浜でのウエスタン・リーグの公式戦を視察してから、一軍の試合に臨むことは多々あった。阪神に限らず一軍監督による二軍視察は珍しくもない話だが、今年は「選手を見る視点が少し変わったのでは?」との声が飛び交っている。

根拠となっているのが視察時間だ。昨年までは早くても試合前練習開始の午前9時過ぎ。ところが今年は8時には球場入り。グラウンドに仁王立ちしていることもあり、それでいて二軍戦前のノックや打撃練習を見ないうちに、甲子園球場に移動するケースも増えているという。

ファームでは矢野監督の変化が好意的に受け止められている。3月に入って本格化した指揮官の早朝視察後に一軍のオープン戦に呼ばれた板山祐太郎外野手(26)がキャンプ二軍スタートから逆転で開幕一軍切符を手にしたほか、同じくキャンプを二軍で過ごし、オープン戦でも声が掛からなかった7年目の江越大賀外野手(28)も「足と守備はスペシャリスト」と守備代走要員として、開幕メンバーに滑り込むという。

就任3年目ということもあり、江越のように個々の力量はある程度、矢野監督の脳裏にもインプットされている。「だからこそ二軍でも同様のパフォーマンスを出す準備を怠っていなかったか否かを人知れずチェックしていたのかもよ」。早朝視察は選手の日ごろからの取り組み方を観察する時間だと事情に詳しい関係者は推測する。「見られているんじゃないか?って思うときにちゃんとするのは誰でもできるだろうけど、誰も見ていないタイミングでも同じようにちゃんとできているかを見ているんじゃない?」

今年の阪神は優勝候補の呼び声高い。矢野監督のファーム施設への〝朝活〟が開幕以降も継続すれば、二軍にも緊張感が生まれ、一軍への相乗効果も期待できるはず。指揮官の精力的な働きはチームの活性化につながりそうだ。

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