巨人「出陣式」にサプライズ出席! 94歳・渡辺恒雄主筆に “2つの思惑”

出陣式を見つめる渡辺主筆(左)と長嶋終身名誉監督(代表撮影)

まさかの電撃登場だ。巨人の渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(94)が、22日に都内のホテルで開かれた巨人の「出陣式」に出席した。球団行事で公の場に姿をみせたのは実に1年半ぶり。最大の目的はチームのリーグ3連覇と9年ぶりとなる日本一奪回に向けてゲキを飛ばすことだったが、新型コロナ禍での〝出馬〟には別の思惑も隠されていたようで――。

2021年の船出を目前に総帥のビッグサプライズがさく裂した。渡辺氏は原辰徳監督(62)をはじめとした首脳陣や坂本ら一部主力選手たちの激励に訪れたのだ。

冒頭のあいさつでは「選手諸君も原監督をはじめ、ちょっとお会いした限りにおいては、どうも今年は優勝しそうな顔をしておられます。選手諸君は本当に自信をもって頑張って、断固優勝していただきたいとお願いするしだいであります」とさっそくゲキを飛ばした。長嶋茂雄終身名誉監督(85)とも言葉を交わし「今日は長嶋さんもおいでいただき、しばらくぶりにお会いできて私自身は大変うれしいことでありました」と表情を緩める場面もあった。

気がかりだったのは車いすで姿をみせた点。このことについては自ら切りだし「ちょっと僕は今年の初めにひっくり返って、どこかで転がって足を痛めてちょっと不自由していたが、だいたいもう治ったんですが、まだ体調不良でみっともないところをさらして申し訳ない」としつつ「まあ、(今秋の)祝勝会の時までにはピンピン治って、元気になって出てくるつもりでおります」と〝らしさ〟も健在だった。

何より関係者を驚かせたのは、新型コロナ禍の中での参列だ。渡辺氏が球団行事に出席したのは2019年9月30日に開かれた「セ・リーグ優勝祝賀会兼クライマックスシリーズ激励会」が最後。この日の「出陣式」も万全な新型コロナ対策が施されていたとはいえ「さすがに高齢の主筆は参加しないだろう」ともっぱらだった。

〝リスク〟もある中で、あえて公の場に立った最大の理由はチームへの叱咤だ。親会社の読売関係者は「やはり日本一から遠ざかっている現状に不満を持たれている。今年こその思いが強いのではないか」と見ている。

もう一つ狙いは「健康不安説」の一掃だという。実は、昨年9月下旬に読売本社周辺のごく一部で「渡辺氏が極秘入院した」との情報が駆け巡っていた。そうした経緯もあって、渡辺氏が新型コロナ禍であっても〝参陣〟し、健在ぶりを示したのではないか――というわけだ。

いずれにせよ、チームが引き締まったことは間違いない。原監督は「久しぶりにお会いして、我々自身も勇気をいただいた。『頑張ってしっかり戦いなさい』と。『はい』ということですね」と背筋を伸ばした。9年ぶりの日本一へ、原巨人の負けられない戦いが始まる。

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