自動車レースの世界最高峰『F1』日本人ドライバーが7年ぶりに参戦【開幕直前モータースポーツ入門ナビ】

 各地から届く桜や梅の開花の便りとともに、春が一歩一歩近づいてくることを実感する3月。モータースポーツの世界では通常、新しいシーズンの開幕が迫る時期を迎える。

 2021年もいまだ新型コロナウイルスの脅威が収まらぬなかではあるが、F1をはじめ、WECやインディカ―、国内のスーパーGT、スーパーフォーミュラといった各シリーズの開幕戦が3~4月にかけて順次開催されていく。

 ここでは、そんな各カテゴリーの楽しみ方や観戦のヒントとなるポイントを初心者にも分かりやすく紹介していく。シリーズ第3回目はバーレーン・インターナショナル・サーキットで、3月26~28日に開幕戦が行われるF1世界選手権だ。

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■ポイント

・1950年に始まった世界最高峰、世界最速の自動車レース
・各チーム/コンストラクターがそれぞれ規則に則って車体を製造
・パワーユニット(エンジン)はメルセデス、ホンダ、ルノー、フェラーリの4メーカーが供給
・タイヤはピレリが独占供給し、大会ごとに5種類のコンパウンドのなかから3種類(ハードタイヤ/ミディアムタイヤ/ソフトタイヤ)を持ち込む。この3種類のうち、どのタイヤを何セット持ち込むかはドライバーによって異なる※
・参戦チームは全10チーム、ドライバーは各チーム2名ずつの全20名
・2021年は史上最多の23戦を開催予定。日本GPは10月8日~10日開催予定
・角田裕毅がスクーデリア・アルファタウリ・ホンダからF1デビュー。日本人ドライバーとして10人目で、7年ぶりのフル参戦

※2021年はコロナ禍の影響でドライバーごとの選択が不可能に。

2020年F1第17戦アブダビGPのスタートシーン

■F1の紹介

 世界最速の自動車レースであるF1は近年、3月から12月にかけて世界中を転戦し、トップクラスの実力を持つドライバーたちによって争われる。現在はわずか20席しかないF1のシートを求め、F1直下のカテゴリーでは熾烈な争いが繰り広げられている

 F1マシンの特徴のひとつは、各チームが技術規則に則ってそれぞれ車体を製造できること。毎年、新車が製造され、マシンにはチームの個性や工夫が現れ、年間を通じて開発が認められている。大規模なチームでは各レースごとに細かなアップデートを施すこともあり、近年は特に空力/ダウンフォース重視のマシンで、空力パーツを中心としたシーズン中の進化が勝敗に大きな影響を及ぼす。

 動力源はハイブリッド。1.6リッターV6のシングルターボのガソリンエンジンに電気エネルギーを生み出すエネルギー回生システムが組み合わさったパワーユニット(PU)を搭載し、2021年はメルセデス、ホンダ、ルノー、フェラーリの4メーカーがPUを供給している。

 レース距離は基本的に約300km(または2時間のタイムレースで)で、金曜日に練習走行を行い、土曜日午後に予選、日曜日に決勝レースが行われる。予選は予選Q1からQ3まで、下位数台が脱落するノックアウト方式が採用され、決勝ではタイヤ交換やピットストップのタイミングが大きな戦略的な要素となる。レース中の燃料の給油は、現在行われていない。

 2021年の参戦チームは全10チーム、ドライバーは各チーム2名ずつの全20名。2020年はメルセデスがコンストラクターズ選手権で7連覇を達成し新記録を樹立した。またドライバーズ選手権ではルイス・ハミルトンがミハエル・シューマッハーに並ぶ7度目のタイトルを獲得。ハミルトンは勝利回数でも歴代単独首位に立った。

2021年F1プレシーズンテスト1日目 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 開催地によってレースの時間帯なども異なり、バーレーンやアブダビではトワイライトレース、シンガポールではナイトレースが行われる。各サーキットの特徴もさまざまで、モナコやアゼルバイジャン、シンガポールのような市街地コースも存在。シーズンのなかでも鈴鹿サーキットはドライバーの技量が問われる屈指のコースで、ドライバーからの人気が高い。

 これまでF1にフル参戦した日本人は中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京、中野信治、佐藤琢磨、中嶋一貴、小林可夢偉など9名。

 2021年にはホンダの育成ドライバーであり、レッドブルの若手ドライバープログラム『レッドブル・ジュニアチーム』の一員でもある角田裕毅がスクーデリア・アルファタウリ・ホンダからデビューする。またミハエル・シューマッハーの息子、ミック・シューマッハーもハースF1チームからデビューが決まった

 2021年は新たにサウジアラビアでの開催も決まり、史上最多の全23戦を開催予定。日本GPは第18戦として、10月8~10日に開催される。

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