エクストリームEもうひとりの“ジョーカー”は、砂漠の女王ユタ・クラインシュミットに

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 この4月に迫った初年度開幕を前に“Joker Drivers(ジョーカー・ドライバー)”と呼ばれる新たなポストを創設した新世代の電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』シリーズは、2008、2009年のDTMドイツ・ツーリングカー選手権チャンピオンで、WorldRX世界ラリークロス選手権にも参戦するティモ・シャイダーに続き、新たにユタ・クラインシュミットの起用を発表した。

 地球環境保全活動とその啓蒙、さらに男女平等と独創的な放映形態を採用するまったく新しいEVオフロード選手権としてスタートを切るエクストリームEは、この4月3~4日に『Desert X Prix』と銘打ち、サウジアラビアでいよいよ開幕のときを迎える。

 その参戦チームとは異なりシリーズが独自で用意した今回のポストは、実際にレギュラー勢で欠員が出た際にリザーブとして代役参戦するかたわら、エクストリームEのレースコースの設計にも貢献する重要な役割を担う。

 開幕戦の“砂漠”に続き、熱帯雨林、氷河、北極圏、そして海洋などシーズンで訪問する場所の性質上、チーム単位でイベントの現場にバックアップドライバーを配置することが難しいため、クラインシュミットはシャイダーとともに、チームの要求に備えてバックアップ要員としてステアリングを握る可能性もある。

 シャイダーと同じドイツ人でケルン出身のクラインシュミットは、1988年には世界的なラリーレイド・イベントのダカールラリーに挑戦。2輪で3度の出場を経たのち、1995年から4輪に転向してシュレッサー・バギーをドライブし、ステージ優勝も記録する速さを見せる。

 そして最強軍団の称号を欲しいままにしていたミツビシ・ワークスのラリーアートに加入すると、1999年にはパジェロ・エボリューションで総合3位を獲得。そして2001年には増岡浩とのチーム内バトルを制して、史上初のダカールラリー総合優勝を達成した女性ドライバーとなった。

2008、2009年のDTMドイツ・ツーリングカー選手権チャンピオンで、WorldRX世界ラリークロス選手権にも参戦するティモ・シャイダーと同じ役割を担う

■クラインシュミット「チームをサポートすることを本当に楽しめると思う」

 エクストリームEのチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーであるジェームス・テイラーは、30年以上に及ぶクロスカントリー・ラリーでの成功経験を持つクラインシュミットの起用は「シリーズの未来にとって重要な意味を持つだろう」と歓迎の意を示した。

「我々シリーズのスタッフは皆、ユタとティモのふたりが参加してくれたことにワクワクしている。彼らの実績と、モータースポーツで積み重ねた成果とその達成に、心からの敬意を払っているんだ」と続けたテイラー。

「彼女のことを“ダカールラリーで優勝した唯一の女性ドライバー”として、ことさら強調して紹介する必要はないだろう。ユタはオフロード界の生ける伝説であり、新しい革新的なテクノロジーへの移行を熱心に支持している。この役割を担うのに、これほど最適な人物はいないよ」

 一方、すでに現役を退いてから数年が経ち、FIAやFIMでの要職も担ってきた現在58歳のクラインシュミットは、この新たな職務に対し「私の経験や知識のすべてを必要とする、とてもエキサイティングな役割」だと意気込みを語った。

「シンプルに言って、このシリーズの“アドバイザー兼チャンピオンシップドライバー”としてファミリーの一員であることは、絶対に素晴らしいことね。さまざまな面でチームをサポートすることを本当に楽しめると思う」と続けたクラインシュミット。

「環境にやさしい新技術はモータースポーツの未来でもあるし、この革命的かつ革新的なEVオフロード・シリーズに参加するのを楽しみにしていた。同時に、最高の女性ドライバーの才能を披露するための重要なレース形式も提供してくれているしね」

「女性と男性がチームを組み、同じ素材、同じ車両で一緒に競争するなんて絶好の機会。エクストリームEは、未来のモータースポーツ・テクノロジーと男女平等の精神を巧みに組み合わせている。従来のカテゴリーにこれと匹敵するものは存在していないと断言できるわね」

Extreme Eは、この4月3~4日に“Desert X Prix”と銘打ち、サウジアラビアでいよいよ開幕のときを迎える