ビートルズのいない80年代、そこにはニック・ロウがいた! 1985年 10月21日 ニック・ロウのアルバム「ローズ・オブ・イングランド」が日本でリリースされた日

ニック・ロウのフォルダは “ビートルズみたいなの”

今ほどジャンルの細分化が進んでいなかった1980年代、「洋楽は全部ロックでいいじゃん!」と思いつつも、数を聴くようになると、自分の中で系統ができてくる。これはエレクトロポップで、あれはハードロック、そっちはアメリカンロック…… といったふうに脳内フォルダに整理されるのだが、ある日分類に困り “ビートルズみたいなの” という妙なフォルダができた。ニック・ロウを聴いたときだ。

ハイティーンの頃、NHK-FMの『サウンドストリート』は主婦が朝ドラを見逃さないのと同様、自分には毎日のように聴くラジオ番組だった。中でも渋谷陽一がパーソナリティを務めていた日は、ニック・ロウがよくかかった記憶がある。初めて聴いた「ハーフ・ア・ボーイ・アンド・ハーフ・ア・マン」にオッ!と思い、「恋するふたり」も大好きになった。極めつけは「シー・ドント・ラヴ・ノーバディ」。これにハマり、レコードを買った。

ラジオデイズを思い出す私的名盤「ローズ・オブ・イングランド」

そのアルバム『ローズ・オブ・イングランド』を聴き、出てきたのが “ビートルズみたい” という感想だ。ビートルズと言われて連想する音は人それぞれだが、当時の自分にはメロディアスで親しみやすく、それでいてシンプルな、キャリア前半期の音を意味していた。

そしてそれは、エコーをギンギンに効かせ、やたらとヌケのイイ流行りの音楽とは一線を画していた。必然的に、この頃のニック・ロウはヒットチャートを賑わすことはなかったが、『ローズ・オブ・イングランド』は私的名盤だし、聴き返すと、あの頃のラジオデイズが思い出される。

一般的にはパブロックに分類されるニック・ロウ、だけどやっぱり…

ニック・ロウが一般的にパブロックというジャンルに分類されていると知ったのは、もう少し後の話。しかしパブロックもさまざまで、ファンキーなイアン・デューリー、神経質なコステロ、ゴリゴリのドクター・フィールグッドはどれも違う音に聴こえるし、ニック・ロウもしかり。

自分には今でも “ビートルズみたいなの” だ。そもそもビートルズだって、パブ・バンドだったわけだし。

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※2017年2月28日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: ソウママナブ

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