ゼンリンが長崎で実験へ 観光型移動サービス「MaaS」

 地図大手のゼンリン(北九州市)は23日、今夏をめどに、長崎市で観光型の次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実証実験を始めると発表した。長崎の観光情報と公共交通サービスをデジタル上で連携。観光客らに施設間の移動を喚起させる仕掛けをスマートフォンのアプリで提供する。

 同社は昨年4月、長崎市内に人工知能(AI)を活用した地図データ作成の研究開発拠点「長崎R&Dブランチ」を開設。実験は拠点の新規事業第1弾で、県と同市が協力する。
 具体的には、グラバー園や出島和蘭商館跡、平和公園などの観光施設の歴史や文化が分かる情報をデジタル化し、アプリ上で公共交通や民間のサービスと連携。利用者の位置情報を分析し、人気のあるグルメなどの寄り道スポットや街歩きに適した経路を提案する。観光施設のチケットも購入できるようにする。
 新型コロナウイルス禍で分散型観光が注目される中、利用者が混雑情報を一目で分かるようになる地図情報連携サービスの技術検証も予定している。
 同社は今後、長崎の地形や歴史、文化をストーリーとしてつないだ周遊ルートも提案したい考え。「長崎での移動の楽しさや便利さを定着させ、人の行動を喚起することで地域活性化につなげたい」としている。

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