【中医協速報】医師会「後発品変更は信頼関係ある薬局に限定を」/後発品信用問題に関連して

【2021.03.24配信】厚生労働省は3月24日、中央社会保険医療協議会 総会(第477回)を開催し、委員から後発医薬品企業の不祥事に対する厳しい意見が出た。その中で、日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「患者から薬局で後発医薬品に変更されたということに関して、なぜかというお声もいただいている。薬局で後発品に変更するというのは大きな問題であり、信頼関係のできている薬局に限定することを診療報酬上で対応することも必要ではないか」と述べた。

松本委員「後発医薬品の使用割合が減ることは想定内」

日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、後発品の信用問題に関して、「基準を逸脱していたという世界に恥ずべき事態」と言及。「問題は当該の2社にとどまらず、やや強引な推進により、他の会社でも逸脱が懸念されるところ」と述べ、当該社だけに限定した問題ではないとの見解を示した。「後発医薬品の使用割合が減ることは想定内であることを予め指摘しておきたい」と述べた。

その上で、「薬局で後発医薬品に変更されたことで、なぜこんな医薬品を先生は出したのかというお声をいただくこともある。薬局における後発医薬品の変更は大きな問題であり、信頼関係のある薬局に対して限定してできるように、診療報酬上の対応も必要ではないか」とした。

今村氏「数量目標などが弊害につながった」

これに関連し、日本医師会副会長の今村聡氏も意見を述べ、「大洋薬品工業の不祥事など、これまでに今回に限らず後発医薬品企業への行政処分などはあった。医療側が品質や供給問題を指摘してきたが、政策的に財政問題を主として数量目標などが設定され、メーカーも無理をして体制をとってきた。それが今回の弊害につながったと思う。業界団体に所属していない企業も多数あり、繰り返される可能性がある。数値達成は困難であり、根本的に後発医薬品のあり方を検討すべきだ」と述べた。

城守氏「承認体制から見直すことも検討を」

さらに、日本医師会常任理事の城守国斗氏は、「対策として無通告の立入検査や監視体制を強化していくとおっしゃっているが、それでも改善しないとなれば、医薬品の承認体制を含めて検討していくべき。再評価を取り入れるなどの品質の管理体制をとるべきだ」とした。

有澤氏「後発医薬品は流通問題も解決を」/新規取引理由の納入拒否が散見

日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、後発医薬品の信頼問題に関して、患者に使用を推進してきた薬剤師にとっても信頼失墜に繋がりかねないとの強い危機感を表明。「一度失った信頼を取り戻すことは大変なことであり、薬剤師も非常に困っている」と述べた。

また、信頼問題に加えて、流通上の問題解決を要請した。

薬剤師の負担についても、こうした供給不安の中、「同薬効の変更についても処方医に確認しなければならず、薬剤師の負担になっている」としたほか、「後発医薬品の備蓄品目数が上がっている中で、在庫金額は下がっており、また後発医薬品の廃棄金額も上がっている。薬局経営に大きな影響が出ている」と経営上の負担についても理解を求めた。

さらに、松本委員の「薬局で後発医薬品の変更は問題」との意見に対しては、「現在の制度でも、後発医薬品変更不可という処方医の意向を反映できる制度となっており、変更不可の処方箋で薬剤師が処方医への確認なしに後発品に変更することはない」と述べた。

厚労省「業界再編を検討すべき時期」

こうした数々の指摘に対し、事務局は、立ち入り調査やコンプライアンス向上策をとっていく方針を示したほか、「使用率は8割を超えた中、量から質への転換を図る時期に来ている」との認識を示し、「業界再編についても真剣に考えていく」と述べた。「現在、新たな医薬品産業ビジョンを策定中であり、議論を深めていく」と方針を示した。

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