富士通、製造業のAI活用を支える「現場品質AI」を販売開始

製造現場では、高品質を保ちながら、生産性向上とコスト削減の両立が求められており、AI技術を活用した製造プロセスの効率化や品質保証レベルの向上などが進められている。製造現場へAIモデルを適用するには、現場に点在する各種設備の膨大なデータを収集し、リアルタイムに処理する必要があるため、一般的には設備の近くに設置されたエッジデバイスへAIモデルを導入し、処理を行う。この場合、エッジデバイス毎に最適化したAIモデルの開発手法と、それに伴う複数の開発環境の維持が必要なため、一元管理が困難となる。また、AIモデルは設備の経年劣化や環境変化により予測精度が低下する場合があり、予測精度維持のための定期的な精度の確認と精度低下時のAIモデルの再学習・エッジデバイスへの再導入を繰り返し行う必要がある。これらにより、導入・運用コストが増大するなどの問題が生じている。富士通はこれまで、富士通研究所とエンジン部品加工工程における研削加工品質を高精度に予測するAIモデルの開発や、AIモデルのライフサイクル管理の実現など、製造現場へのAI導入に取り組んできた。こうした知見を活かし、AIモデルのライフサイクル管理を支えるソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 現場品質AI 運用管理パッケージ」(以下、「現場品質AI」)を開発し、2021年3月26日より販売開始すると発表した。「現場品質AI」は、製品の加工工程においてAIにより加工品質をリアルタイムで予測し、品質維持を支援するとともに、製造現場でのAIモデルのライフサイクル管理を支援し、AI活用を促進するソリューションだ。AI活用には、データ分析やAIモデル開発などの専門的なスキルを必要とし、習得のために多くの時間を必要とする。また、AIモデルは活用していく過程において精度が低下することがあるため、AIモデルの維持・向上のために継続的な運用・保守なども不可欠となる。「現場品質AI」は、製造現場における品質維持とコスト削減の両立に向け、製造業向けAI活用ノウハウに基づいたコンサルティング、モデル作成支援、運用サポートをサービスとしてトータルで提供するという。

■「現場品質AI」の特長

1. 製造現場でのIoT・AI活用ノウハウに基づくAIモデル作成で高精度に加工品質を予測
2. 開発から運用まで統一された専用サーバーの提供により、導入・運用コストを低減
3. AIモデルのライフサイクル管理により、AIモデルの品質維持を実現

今後は、AIモデルの経年劣化や設備環境変化による予測精度低下への取り組み強化など、AIモデルのライフサイクル管理をさらに充実させることで、「現場品質AI」の展開範囲を広げるとしている。プレスリリース提供:富士通

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