「君たち、僕のこと知らないよね」子供を前にハニかんだ古賀稔彦さん 訃報に地元も落胆

笑顔がまぶしかった古賀さん

1992年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダリストで「平成の三四郎」こと古賀稔彦氏が24日朝、53歳の若さで死去。突然の訃報に出身地の佐賀県からも悲しみの声が上がっている。

小学生まで佐賀・みやき町で過ごした古賀氏は、その縁で県が取り組むトップ選手の育成やスポーツ普及を目指すプロジェクト「SAGAスポーツピラミッド構想」のアンバサダーに2019年5月に就任しており、同プロジェクトの担当者も「驚きました」と落胆を隠せなかった。

同年9月には活動の一環で、同県がスポーツ支援する700人の中、高生の前で講演会を行ったという。「種目に限らず頂点を目指すアスリートは気持ちの面も大事と思い、意識付けのために話してもらいました。今の子供たちにとって古賀さんはあまりなじみがなく、古賀さんも『君たち僕のこと知らないよね』って笑いを取ってましたよ。でも話の中で『一流の選手になろうと思ったら一流の練習を積まなきゃいけない』と話され、子供たちも感銘を受けていた様子でした」と振り返る。

昨年は新型コロナウイルス禍の影響もあり活動はできなかったが、再開後には「種目に限らず、より少人数での合宿なども企画していました」と語ったが、かなわぬこととなった。「子供たちのために何かを伝える古賀さんの姿を拝見しただけに、もっと多くの人に伝えてほしかったし、我々もその機会をもっと作りたかった。残念です」と急逝を惜しんだ。

古賀氏は25日から始まる東京五輪の聖火リレーで5月10日にみやき町を走る予定だった。

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