「ローカル5G」遠隔診療 鮮明な映像、がん発見 長崎大病院など6者が実証事業

ローカル5Gを使った遠隔診療支援イメージ図

 長崎県や長崎大学病院、五島中央病院など6者は超高速で大容量通信が可能な「ローカル5G」を遠隔診療に活用する実証事業をしたと24日、発表した。100キロ以上離れた両病院をオンラインでつなぎ、専門医が鮮明な映像で診断して早期食道がんを発見したと明かした。
 「ローカル5G」とは、自治体や企業が限られた場所で利用できる第5世代(5G)移動通信システム。総務省の事業「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に選定され、社会福祉法人なごみ会と井上内科小児科医院(ともに五島市)、NTT西日本グループを加えた6者が1月12日~3月3日に実証事業に取り組んだ。
 五島中央病院では、医師がスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)や高画質の4Kビデオカメラで患者の皮膚や瞳孔などを撮影。長崎大学病院の皮膚科や脳神経内科などの専門医がリアルタイムで届く画像を見ながら診療をサポートした。模擬の外科手術や模擬の救急医療もした。
 会見で、長崎大学病院消化器内科の山口直之准教授が4K内視鏡カメラを使った遠隔診療を説明した。従来の画像では、食道炎と食道がんを見分けるのが難しかったが、今回の画像は鮮明で、100倍まで画像を拡大して、がんと診断した。
 なごみ会の短期入所生活介護事業所では、看護師らが利用者の画像や音声を五島中央病院や井上内科小児科医院の医師に送り、遠隔サポートを受けた。
 6者は、課題として5G対応の機器が少ないことや高いコストなどを挙げた。
 河野茂長崎大学長は「遠隔診療は離島、へき地の医師不足の解決につながるとして期待されている。課題を一つ一つクリアしていくことで安全で質の高い遠隔医療の実現に近づく」と述べた。


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