F1ポルトガルGP主催者が有観客開催の意向も、状況は流動的

 2021年5月2日のF1第3戦として開催されるポルトガルGPの主催者が、グランプリウイークエンドに限られた数の観客を入れる意向を表明した。アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベが国の保健当局との協議を経て、チケット販売の開始を許可されたということだ。

 収容人数9万人のコースは、当面その15パーセントにあたる1万3500席をファンに向けて売り出すが、そのために厳格な規則も設けられた。グランプリを主催するパウロ・ピニェイロの発表によれば、コースへ通じる各道路で一律にチェックが行われ、72時間以内に新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で陰性が証明された人だけが入場を許可されるという。

 さらに、チケットを入手したファンは、ポルトガル国内のどこの認定医療機関でも、新型コロナウイルス感染症の検査を無料で受けられるという。これはポルトガルのファンにとっては大きな支援となる。最低賃金が655ユーロ(約8万5100円)、平均賃金がおよそ1314ユーロ(約17万600円)とされるポルトガルで、1回あたり105ユーロ(約1万3600円)かかる検査費用をチケットの購入代金と合わせて負担することになれば、大部分のファンにとっては、グランプリレース観戦への道が閉ざされてしまうためだ。

2020年F1第12戦ポルトガルGP 決勝スタートでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)

 5月2日のグランプリについて、保健当局が許可している販売枚数は収容人数の15パーセント相当だが、主催者側はこれを25パーセントにまで増やしたいと願っている。そうすれば、計2万2500枚分のチケット販売が可能になるが、その場合は会場内でソーシャルディスタンスを確保するため、はるかに厳重な監視を行うと確約している。昨年開催したレースにおいて大きな混乱が発生したためだ。どのグランドスタンドにおいても、観戦に最適な場所を確保しようと考えた入場者が、購入したチケットに記載された指定席を離れて、一部のエリアに殺到したのだ。

 この騒動が国民から非常に大きな非難を浴びたため、政府は今年のF1開催を認めないだろうとする見方もあった。しかしアルガルベの主催者たちは、今回は厳格な措置を講じており、去年のような事態が繰り返されることはないと自信を見せている。

 このように、主催者は5月2日のF1と4月18日に予定されているMotoGPを観客を入れて開催する意向を示したが、その後、やはり無観客で開催せざるを得なくなりそうだという報道もなされており、今後の状況を見守る必要がありそうだ。

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