【センバツ】中京大中京165㌢のヒーローはプロ注目右腕も唸るド根性ナイン

先制のランニング2ランを放った中京大中京・櫛田

プロ注目のエースも唸るド根性弾だった――。第93回選抜高校野球大会(甲子園)第6日の25日、1回戦最後の試合となった第1試合で中京大中京(愛知)が専大松戸(千葉)に2―0で競り勝った。

白熱した投手戦に決着をつけたのは、開幕直前に登録変更でメンバー入りした背番号15の櫛田理貴外野手(3年)だった。昨秋まで三塁ランナーコーチとしてチームを陰ながら支えてきた櫛田は、一念発起してこの冬に急成長。6回の守りから途中出場を果たすと、0―0で迎えた7回二死二塁から左翼へ決勝のランニング本塁打を放ち、勝利の立役者となった。

「なんとか1点を取ってくれないかな…という気持ちで見ていました」。ネクストバッターズサークルに控えていたエースも胸を熱くしたシーンだった。この日、12三振を奪って完封勝利を挙げた最速151㌔右腕の畔柳亨丞投手(3年)だ。「秋はランナーコーチとして貢献してくれていたんですが、冬に人一倍バットを振って、レギュラーを取ってやろうという気持ちでやっていました」。畔柳をはじめ、櫛田の努力をチームの全員が見てきた。歓喜に沸いた中京大中京ベンチで、ナインが自分のことのように喜び合ったのには櫛田の〝ド根性精神〟への敬意があったからだ。

初戦でエースが完封を果たし、身長165センチ、体重65キロの努力家が試合を決める――。春制覇を狙う名門が弾みをつけた。

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