人生100年時代 働く人を対象にした「健康とセルフケアの実態調査2021」

自身の健康を守り対処するセルフケア 認知率85.8%に上昇

2021年3月25日
第一三共ヘルスケア株式会社

人生100年時代 働く人を対象にした「健康とセルフケアの実態調査2021」
自身の健康を守り対処するセルフケア 認知率85.8%に上昇
約9割がマスク・手洗い・手指消毒を実践し、
かぜ・インフルエンザの罹患(りかん)回数は2019年平均0.8回から2020年平均0.4回に半減
改正高齢者雇用安定法が施行され70歳雇用時代が到来
セルフケアができている人の過半数が70歳になっても元気に働く自信あり

第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)は、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が人生100年時代の日本に重要なテーマになることを見据え、昨年3月の調査に続き2回目となる「健康とセルフケアの実態調査」を行いました。コロナ禍において、セルフケアの認知度や重要性が高まっており、今後一層重要な行動様式に位置づけられそうです。主な調査結果は以下の通りです。

1.コロナ禍で働く人の健康とセルフケアの実態

■自分自身の健康を守り対処する「セルフケア」。認知率85.8%と、昨年より6ポイント上昇。
セルフケアとは、「自分自身の健康を守り対処すること」です。まず、セルフケアという言葉を知っているかと聞くと、[図1-1]の通り、85.8%(「意味、内容まで知っている」29.2%+「言葉だけは知っている」56.6%)が認知しており、昨年(79.7%)よりも6.1ポイント上昇しています。性・年代別で見ると[図1-2]の通り、セルフケアという言葉の「意味、内容まで知っている」と答えた人は、女性の30代(42.0%)・40代(41.0%)に多く、4割を超えています。

■今後、セルフケアはますます重要と約4人に3人が回答。セルフケアを意識した行動も昨年と比べ増加。
セルフケアの重要性について聞くと、約4人に3人が「今後、セルフケアの重要性が増すと思う」(75.2%=当てはまる+やや当てはまる)と答えており、多くの人がセルフケアの重要性を理解しています[図2]。また、セルフケアを意識して行っていることを聞くと、「十分な睡眠」(47.2%)、「朝食を食べる」「定期的な健康診断」(同率42.0%)、「1日3食」(40.6%)が上位となりました[図3]。昨年と比較すると実践率が高くなった項目が多く、「ウオーキング」(20年26.8%→21年34.0%)や「十分な睡眠」(20年40.7%→21年47.2%)などの基本的な健康習慣がより促進されたことがうかがえます。

■しかし、自身のセルフケア評価は50.9%で減少傾向、費用もダウン。コロナ禍での運動不足が影響?
認知率も重要性も高まるセルフケアですが、自身のセルフケアができているかと聞くと「できている」と答えたのは4.9%で、「どちらかというとできている」(46.0%)を加えても50.9%と、昨年(54.3%)より少なく[図4-1]、かけている金額も昨年より月額平均で217円減少しています[図4-2]。セルフケアができていない理由を聞くと、約4割もの人が「運動・体を動かす機会が減った」(40.5%)と答えています[図4-3]。コロナ禍による自粛が影響しているようです。

■セルフケアができていると自負する人は、健康情報への関心が総じて高め。
健康に関する情報源は、「広告・CM」(60.6%)、「TV番組・新聞・雑誌の記事」(56.3%)、食品・飲料・医薬品メーカーなどの「企業のウェブサイト」(33.9%)が上位に挙げられました。
これを前述[図4-1]のセルフケアができている層とできていない層を比較すると、できている層の方が参考にする割合が高く、「企業のウェブサイト」(できている層39.1%、できていない層28.5%)や「健康情報サイト」(できている層30.6%、できていない層19.6%)、「SNS」(できている層29.9%、できていない層19.6%)は10ポイント以上も高くなっています[図5]。

※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計値と合致しない場合があります。

■家庭の常備薬にもコロナ禍の影響か? 「消毒液」「うがい薬」の常備率が増加。
自宅にある常備薬について聞くと、31.2%が「詳細に把握」、47.3%が「なんとなく把握」しており、全体の約8割が「自宅の常備薬を把握」(78.5%)しています。セルフケアができていると答えた人では82.7%と、把握率が高くなっています。
自宅の常備薬を把握していると答えた人に常備薬の種類を聞くと、「かぜ薬」(84.8%)、「解熱鎮痛薬」(68.4%)、「目薬」(62.8%)の順となりました。また、昨年の結果と比較すると、「消毒薬」(20年39.2%→21年49.0% +9.8ポイント)や「うがい薬」(20年40.3%→21年48.2% +7.9ポイント)の常備率が一段と高まっています。家庭の常備薬にもコロナ禍の影響がうかがえます。

※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計値と合致しない場合があります。

2.コロナ禍で働く人の感染予防の実態

■ほぼ全員が実践した「マスク」「手洗い」。2020年のかぜやインフルエンザ罹患回数は前年の半分に。
2020年から始まったウィズコロナの日常。かぜやインフルエンザ、新型コロナなどの感染予防のために、2020年に行った①マスクの着用 ②手洗い ③手指の消毒 について聞きました。「しっかり実施した」と回答した割合を見ると、「マスク」が83.2%、「手洗い」が68.2%、「手指の消毒」が57.5%となり、「まあまあ実施した」を含めるといずれの対策も9割以上(マスク97.6%、手洗い94.5%、手指の消毒92.1%)が実践しています[図6]。
多くの人が感染予防を実践した2020年。1年間にかぜ・インフルエンザにかかった回数を聞くと平均で0.38回となり、2019年の平均回数(0.76回)の半分という結果になりました[図7]。

■セルフケアの重要性とともに、市販薬への関心や期待も高まる。 このように予防効果を高めるセルフケアですが、市販薬との関係について聞いてみました。

すると、半数が「今後は病院に行かず市販薬を使う機会が増える」(54.3%=当てはまる+やや当てはまる)と回答し、約6割が「セルフケアのために市販薬についてもっと知識を増やしたい」(57.7%)と考え、約7割が「セルフケアのために市販薬は役立つと思う」(71.5%)と答えています[図8]。

3.コロナ禍で働く人の健康と勤務実態

■コロナ禍で普及した在宅勤務。職場勤務に比べて残業時間の増減が大きい。
コロナ禍で急速に広まった働き方が在宅勤務です。コロナ禍からおよそ1年が経過した現在、在宅勤務をしている割合は38.0%で、一切在宅勤務をしていない職場勤務が62.0%でした[図9]。
コロナ禍による残業時間の変化を聞くと、「変わらない」(63.6%)が多いものの、およそ4人に1人は残業時間が「減った」(24.2%)と答えています。
在宅勤務・職場勤務の勤務スタイル別で見ると、残業時間が変化した人が職場勤務の人では約3割(29.7%)で「増えた」が8.7%、「減った」が21.0%だったのに対し、在宅勤務の人では約半数(47.4%)と多く、「増えた」(17.9%)も「減った」(29.5%)も職場勤務の人より多くなっています[図10]。
コロナ禍で普及した在宅勤務という新しい働き方。残業時間から見ても、模索中の勤務スタイルであることがうかがえます。

■コロナ禍で自身のセルフケアができているのは、職場勤務より在宅勤務。
前述[図4-1]の通り、自身のセルフケアが「できている」と回答した割合は4.9%、「どちらかというとできている」(46.0%)を含め、「セルフケアができている」と回答したのは全体の50.9%でした。これを勤務スタイル別で見ると、セルフケアができていると答えた割合は、在宅勤務56.6%、職場勤務47.4%となり、在宅勤務の方が9.2ポイントも高くなっています[図11]。

■「高齢者雇用安定法」が一部改正され本年4月から施行。70歳でも働く自信がある人は昨年より増加。
人生100年時代。元気に働く社会に向けてセルフケアがますます重要に。
人生100年時代、働き方も多様化する中、本年4月に「高齢者雇用安定法」の一部が改正され、70歳までの就業機会の確保が企業に対して求められます。
高齢者の働く環境整備が進む中、41.8%が70歳になっても「元気に働く自信がある」(自信がある+まあまあある)と答えており、昨年(36.6%)より5ポイントも増えていますが、半分以下にとどまっています[図12]。また、88.0%が「高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重要になる」(そう思う+まあそう思う)と答えており[図13]、元気に働くためにもセルフケアが一層重視されそうです。

4.コロナ禍で働く人のセルフケアと人生観

■セルフケアができている人は、仕事にやりがいを感じ働き方の多様性に柔軟。
ワークライフバランスを心がけ、70歳になっても働く意欲が高い。
コロナ禍の今も、人生100年時代のこれからも、健康のためにセルフケアを心掛けることはますます重要となっていきそうです。そこで「セルフケアができている/できていない」の違いが、仕事観や生活満足度にどう影響するのかを比較しました。
まず、仕事観に関する結果が[図14]です。仕事に対するやりがいについては、全体の58.2%が「やりがいを感じている」と答えている中、セルフケアができている人では68.6%と高く、できていない人(47.5%)と比べ21.1ポイントの差がつきました。
また、在宅勤務やワーケーション※などの新しい働き方への取り組み意欲も、セルフケアができている人の方が共に高く、新しい働き方に柔軟な姿勢を持っていることが見て取れます。
さらに、セルフケアができている人は、「ワークライフバランスがとれた生活を心掛けている」と答えた人が80.6%と高く、かつ、「70歳になっても元気に働く自信がある」と答えた人が53.6%と、半数を超えています。
※Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語。テレワーク等を活用し、リゾート地など普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行うこと。

■セルフケアができている人は、家族との時間も生活全般も、総じて幸せを感じている人が多い。
生活満足度について聞くと、セルフケアができている人は、約7割が「家族との時間を大切にでき」(71.9%)、「生活が充実している」(72.7%)と実感し、約8割が「総じて幸せに過ごせている」(79.8%)と答えています[図15]。
セルフケアができている人は、自分自身をいたわると同時に、仕事も生活も家族も大切にできており、幸せにつながっていることを示唆する結果となりました。

産業医・石井りな先生に聞く、コロナ禍での働き方とセルフケア

■コロナ禍の1年。セルフケアの認知や行動が増え、かぜの予防効果を実感。
コロナ禍の1年、私たちの日常は大きく様変わりしました。感染症対策の基本となるのが個人の健康管理であり、セルフケアが重要となります。今回の調査で示されたように、セルフケアの認知や意識した行動が増えたことは、セルフケア推進にとって一つの成果だと思います。かぜやインフルエンザの罹患回数が昨年から半減という結果が出ていますが、私が関わる病院でも、インフルエンザの患者さんはほとんどいませんでした。一つのウイルスがはやると他のウイルスがはやらない「ウイルス干渉」もあるのでしょうが、一人一人日頃のセルフケアの効果が証明されたものと思います。

■「衛生対策」「体づくり」「健康観察」に加え、「生活リズムを崩さない生活習慣」も重要に。
その一方で、セルフケアの自己評価は昨年より低い結果となっています。おそらく、セルフケアが日常になったことで「これで正しいのか」「まだ足りていないのでは」という新たな不安が生じているようです。セルフケアとしてこんなことをしたらいい、という具体的なモデルケースが周知できると良いのかもしれません。
感染予防としてのセルフケアは、「衛生対策」「感染しにくい体づくり」「検温・体調チェックなどの健康観察」が挙げられますが、この1年のウィズコロナの生活を送った経験から、「生活リズムを崩さないこと」も感染予防のためのセルフケアとして重要なことが分かりました。この4つの視点をもって、食事や睡眠、運動など[図3]の生活習慣を実践すると良いでしょう。

■今後ハイブリッド化する在宅&職場勤務。自分に合うワークスタイルを見つけることもセルフケア。
また、この1年で多くの人が在宅勤務を経験することになりました。調査結果を見ると、在宅勤務の方がセルフケアができている人が多くなっています。時間に余裕ができ、自分と向き合うことでセルフケアができている、と回答する人が多いのかもしれません。一方、残業時間を見ると、在宅勤務の方が増えたり減ったり変化が大きくなっています。在宅勤務で自分のペースで仕事がはかどる人もいれば、誰にも相談できず抱え込みオーバーワークになってしまう人もいます。誰もが在宅勤務が合うわけではありません。在宅勤務が合う人は、セルフケアなどの自己管理(セルフコントロール)がうまくできるタイプが多く、自己管理がうまくできない人は、人の活気の中で働く職場勤務の方が仕事が楽しめるのかもしれません。これから定着しそうな在宅&職場勤務のハイブリッドスタイルでは、自分に合ったワークバランスが選べるようになるといいですね。

■市販薬はセルフケアのよき相棒。正しい知識で上手に活用してほしい。
調査では約7割の人が「セルフケアのために市販薬は役に立つ」と答えていますが、この1年、診察をする中で軽症の患者さんの受診が少なくなったことを感じます。コロナ禍で受診を控えるとともに、市販薬をうまく使いコントロールする人が増えているのかもしれません。セルフケアにとって市販薬は非常に役立つ相棒のような存在です。「セルフケアのために市販薬についてもっと知識を増やしていきたい」と答えた人は約6割でしたが、もっと多くの人に市販薬について学んでいただき、正しい知識で上手に使ってほしいと思います。
病院には行きたくないけれど体調に不安がある、というような相談を受けることがあります。そんなとき、問診の上、新型コロナウイルス感染症の疑いがない場合は、「市販薬をうまく利用してみては」とアドバイスをすることもあります。どの市販薬が自分に合うのか、見つけることもセルフケアの第一歩です。

石井りな先生 産業医・精神科医
フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所 代表統括産業医
千葉大学医学部卒。総合病院にて内科・外科・救命救急を経験。精神科専門病院で精神科医として研鑽を積み、2010年から専門医としての経験に加え、衛生学、労働環境、人事、労働法務にも精通したプロ産業医として活動、「フェミナス産業医事務所」を設立。現在は、企業から頼りにされるプロフェッショナル産業医の育成、産業医間の互助連携などに取り組む。自らの管理職経験も、産業医活動へ生かしている。https://feminus-sangyoi.com

セルフケアに役立つ情報提供サイト

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第一三共ヘルスケアでは、長年製薬事業に携わってきた経験と知識を生かして、情報提供サイト「くすりと健康の情報局」を運営しています。
気になる症状があればすぐスマートフォンで検索する時代に合わせ、同サイトでは身近な症状の原因・予防・対策やOTC医薬品(市販薬)の役割などを紹介しています。コンテンツは大きく「からだの症状」「くすりの基礎知識」「セルフケアお役立ち情報」に分かれており、症状やライフステージごとに注意するポイントも紹介しています。
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第一三共ヘルスケアについて

第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ* の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考え方のもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、スキンケアやオーラルケアへと事業領域を拡張し、経営ビジョン「健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ Fit for You」の実現に向けて取り組んでいます。こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。
*第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ジェネリック医薬品・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。