【センバツ】名将・馬淵監督がたたえた仙台育英「須江野球」再びサク裂

アルプススタンドに手を振る仙台育英ナイン

第93回選抜高校野球大会(甲子園)第6日の25日、第2試合は優勝候補の仙台育英(千葉)が神戸国際大付(兵庫)に13―5で快勝した。前評判の高かった東北王者が春制覇へ一番乗りでベスト8進出を決めた。

14安打を集めての猛攻。自慢の打力に加えて、チームに意識づけされた機動力を発揮して、序盤から相手を圧倒した。緻密な情報収集と分析、的確な攻略法がプランの通りのゲーム展開へと導いた。

仙台育英を率いる須江航監督(37)は神戸国際大付の初戦を振り返る中で、相手エース右腕・阪上(3年)の肘の状態が芳しくないと見ていた。「来るなら先発で2イニングくらい」と想定した上で「阪上くんは縦のスライダー、ツーシームがいい。とにかく走者を出して、ワンバウンドの球を投げづらい状況を作りたかった」と説明。相手の事情を把握できていたからこそ、手負いのエースに好投を許せば、相手の士気を高め勝機を手放しかねない――。ゆえに、序盤で一気に攻めた。
初回は一死一、二塁の好機でこの日4安打と気を吐いた八巻(3年)が先制の2点打。2回は先頭の遠藤(2年)が四球で出塁して、プラン通りの状況を実践した。続く7番の主将・島貫(3年)は2球目の直球を捉えて左翼へ二塁打。後続の内野ゴロとスクイズで2点を追加した。走者がいなくなっても四球で出塁、アウトになったが、果敢に二盗を仕掛けるなど、チームに浸透する「須江野球」を存分に発揮して主導権を握った。3回にも3得点すると、4回も1点を追加。序盤で試合を決めるプラン通りの展開で、相手の反撃を余裕を持ってしのいだ。

初戦で仙台育英に敗れた明徳義塾を率いる名将・馬淵監督は、須江監督に対し「東北でリーダーシップが取れる監督かもしれない。投手の精神力も強い。脚力もある。よくあれだけ足の速いのを揃えましたなあ」とたたえていた。高校野球新時代を予感させる青年監督が、甲子園で思う存分にタクトを振るっている――。

© 株式会社東京スポーツ新聞社