男性向け育児休業制度創設 ~子の出生8週以内に~

少子高齢化に伴う人口減少下において、出産や育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男性も女性も仕事と育児を両立できる社会の実現が重要とされています。
今回は、男性向け育児休業制度が創設されたことについて解説していきます。

7.48%という数字

男性も女性も同じ環境で働いているはずなのに、実際の育児休業取得率は大きな差があります。
男性の育児休業取得率は、令和元年度で7.48%と低い水準にとどまっており、政府が目標とする「令和7年に30%」はまだ遠いのが現状です。
毎年この数値は伸びてきてはいますが、このままのペースでは目標達成は難しいでしょう。
取得期間についても男性の場合は約8割が1カ月未満となっています。
その一方で、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性労働者のうち、育児休業制度の利用を希望していたができなかった人の割合は約4割にのぼり、労働者の休業取得の希望が企業の中で通っていない現状があります。

男性向け育児休業制度創設について

令和3年1月18日に労働政策審議会は、田村憲久厚生労働大臣に対し「男性の育児休業取得促進策等」について以下の内容を建議しました。

① 出産直後を対象とする新たな休業制度の取得可能期間を、子の出生後8週とし、取得日数は最大4週間とする。

② 申出期限は、現行の育児休業制度より短縮し、原則2週間前までとする。ただし、一定の職場環境を整備したうえ過半数組合などとの労使協定に基づく場合は、現行制度と同様に1カ月前までとしても良い。

③ 現行制度は原則として、申出を撤回するとその後再度の申出はできないことになっている。しかし、今回は分割して2回まで取得可能にすることを踏まえ、一度撤回してもその1回分についてのみ申出できないこととする。

職場での印象を変えていく

「前例がないから」という考えではいつまでたっても、職場での育児休業取得が進みません。
・ 業務ともある程度調整しやすい柔軟で利用しやすい制度
・ 育児休業を申出しやすい職場環境等の整備
といった取り組みが必要であると考えられます。

こうした取り組みによって男性の育児休業取得を促進することは、取得を望む男性の仕事と家庭の両立の希望を叶えるとともに、男女問わずワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる職場環境の実現につなげていくことで、第一子出産後に約5割の女性が出産・育児により退職している現状において、女性の雇用継続にも資すると考えられます。

<参考>
・ 厚生労働省「令和3年1月18日労働政策審議会建議」

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