硬式・軟式の壁を越えて ポニーが目指す理念の浸透と“世界的な人材”の育成

「ポニー」では革新的な取り組みを行っている

少年軟式野球国際交流協会の事業継承、軟式から硬式への移行をアシスト

野球を愛する子どもたちに思いきり楽しむ環境を提供しつつ、競技を離れた後も社会で活躍できる人間に育ってほしいと願う日本ポニーベースボール協会(以下ポニー)は、2019年12月に「SUPER PONY ACTION パート1」を発表して以来、球数限度を設けたり、指導者や保護者の怒声罵声にイエローカードを出したり、少年野球界では革新的な取り組みを行っている。

昨年12月に発表された「SUPER PONY ACTION パート2」では、国内外でのチャレンジをサポートするべく「給付型奨学金制度」を新設。保護者の経済的事情から子どもたちが野球を諦めることがないように野球用品給付支援も設け、さらに一歩踏み込んだ包括的な育成システムの構築に努めている。

米国に本部を置くポニーは毎年、マスタング(9~10歳)、ブロンコ(11~12歳)、ポニー(13~14歳)、コルト(14~15歳)、パロミノ(18歳以下)の4部門で、ワールドシリーズ(米国開催)に代表チームを派遣。日本を飛び出し、海外の野球や文化に触れる機会を提供する。「Protect Our Nation’s Youth(国の宝である青少年の成長を守る)」という理念の下、野球を通じた人材育成に取り組んでいる。

ただ、日本の現状では小学生から硬式を始める子どもたちは一部で、小学生のうちは軟式でプレーし、中学生になると同時に硬式へ移行する子どもたちが多い。そこで、ポニーでは今年から「少年軟式野球国際交流協会」の事業を継承し、硬式・軟式の壁を越えた子どもたちのサポート体制を整えると同時に、ポニーの理念を学童期にも浸透させることに注力する。

「子どもに大切なことは何なのか」を念頭に続けるポニーの挑戦

1982年に設立された少年軟式野球国際交流協会は、元広島監督の古葉竹識氏が理事長を務める団体で、少年野球の普及と海外との交流を目的とする公益社団法人だ。主催する国内大会で優秀な成績を収めたチームと選手は、日本代表として海外遠征に派遣され、遠征先では試合を行うほか、ホームステイ体験も実施している。

海外遠征の対象となるのは、15歳以下、12歳以下のカテゴリーに加え、小学生低学年(4年生以下)および12歳以下女子というカテゴリーも用意。幅広い層の子どもたちにチャンスを与えている。

ポニーでは、これまで少年軟式野球国際交流協会が行っていた事業を継承して、軟式野球に励む小学生をサポート。さらに、中学進学に合わせて硬式へ移行したい子どもたちをアシストし、社会へ巣立つ日まで野球を愛する心と世界で活躍する人材育成のサポートに努める。

野球だけ上手ければいい、という時代は終わった。子どもたちが野球でさらなる才能を開花させるため、そしてひとりの人間として深みある成長を遂げるために、大人は社会のニーズを敏感に察知し、時代に即したコーチングを提供しながら、サポート体制を整えていかなければならない。子どもに大切なことは何なのか。子どもが野球を好きでい続けるために何ができるのか。基本となる視点はぶらさずに、ポニーの挑戦は続く。(Full-Count編集部)

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