2時間39分の熱戦にケリをつけた。福岡大大濠(福岡)が「第93回選抜高校野球大会」(甲子園)7日目の26日、第2試合で21世紀枠の具志川商(沖縄)を延長11回の激闘の末、8―4と競り勝った。昨秋の九州大会準々決勝の相手にリベンジを許さず、4年ぶり2回目のベスト8進出を果たした。
聖地のスタンドが大きく沸いた。4―4で迎えた延長11回。先頭の8番・松尾光気(3年)が2ボールから高めに浮いた直球をとらえた。高々と舞い上がった打球は風に乗って勢いを増し、左翼スタンドへと飛び込む貴重な勝ち越しソロ本塁打。なおもチャンスを作ると相手のミスも重なる中、3本の安打などで3点を追加して一気に畳みかけながら一挙4得点を奪い、ダブルスコアとして試合を決めた。
投げては延長10回途中までエース左腕の毛利海大(3年)が4失点と粘投。代わった右腕・馬場拓海(2年)もリードを守り切った。
試合後、値千金の勝ち越し弾を放った松尾は「真っ直ぐの甘いところを狙っていた。打った時にいい感じで当たったと思う。毛利が一生懸命に投げていたので1点入って良かった」と冷静に振り返った。
初戦に続き、これで2戦連続の決勝打を叩き出した〝恐怖の8番〟。この日も2回の適時打を含む4打数3安打2打点と大暴れを見せた。この日の一発で高校通算本塁打を「24」とするなど長打力が最大の武器。だが昨秋の九州大会で不振だったこともあって、それまで主に任されていた5番ではなく今大会のセンバツでは8番が定位置となっている。
その意図を八木啓伸監督(43)は「リラックスできる打順に置いて得点圏を2つ作りたいという考え。松尾みたいな打者がいると相手も気が抜けない。その役割を彼に任せている」と説明。指揮官は下位打線に置きながらもパンチ力のある松尾を「キーマン」にも指名しており、見事に的中している。
松尾自身は8番について「最初は悔しかった」と明かすが、この聖地の舞台では「中軸が返せなかった走者を還すのが自分の役割」と肝に銘じている。
捕手経験もあることから、ソフトバンク、阪神、マリナーズで活躍した元プロ野球選手・城島健司氏(44)に強い憧れを抱く。リアルタイムの世代ではないが「動画を見て城島さんを知った。勝負強いところが好き」。
同校初のベスト4進出を懸け、次は大会9日目(28日)の準々決勝第2試合で東海大相模(神奈川)と対戦する。