平塚・龍城ケ丘整備 神奈川県、樹林帯の保安林指定認めず「特別な理由ない」

住民による保安林申請が認められなかった平塚海岸の樹林帯=平塚市龍城ケ丘

 平塚市が平塚海岸で進める公園整備計画を巡り、地元住民が計画地の樹林帯を保安林指定するよう求めた申請に対して県が指定を認めない決定をしていたことが26日、分かった。全国的にも異例の住民による保安林申請だったが、県側は樹林帯の防砂機能などを認めながらも「将来的な開発行為については制度上、指定可否を判断する要件とはならない」と説明している。

 樹林帯を巡っては市が龍城ケ丘プール跡地(同市龍城ケ丘)周辺で大規模な伐採を計画。周辺住民42人が「海に近い住宅地は樹林帯によって飛砂や塩害から守られている」と伐採に反対し、昨年2月に県に保安林指定を申請した。林野庁によると、住民による申請は「極めて珍しい」という。

 森林法と海岸法は海岸保全区域と保安林の「二重規制」を原則として認めていないが、湘南海岸一帯は今回の樹林帯を除き、飛砂防備林と海岸保全区域に指定されている。1979年に荒廃した樹林帯を回復する特例として保安林指定されたが、計画地は当時、民有施設が残っていたため指定を外れた経緯がある。

 今回の申請で県は「現状の樹林帯は県が適正に管理しており、二重規制を認める特別な理由がない」として認めなかった。今後、伐採される恐れがあっても「法令で定められた手引きには指定要件として記載されていない」として考慮しなかった。決定は18日付。

 住民側は黒岩祐治知事に対して不服申し立てを検討。住民代表の男性は「市民の生活が脅かされようとしているのに考慮すらされず理不尽」と反発している。

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