高校選抜 重量挙げ男子61キロ級 酒井(諫早農)、鮮やか逆転V

【重量挙げ男子61キロ級ジャーク】最終試技の3回目で113キロを挙げ、トータル優勝を決めた酒井(諫早農)=金沢市総合体育館(日本ウエイトリフティング協会提供)

 鮮やかな逆転Vを飾った。重量挙げ男子61キロ級の酒井(諫早農)がスナッチで1位と同記録の2位につけると、続くジャークの最終3回目にライバルを1キロ上回る重量に成功。自身初の全国優勝が決まった瞬間、どうだと言わんばかりに両こぶしを突き上げた。「うれしいのひと言」。2種目とも持ち記録を上回る会心の試技だった。
 スナッチの1回目で90キロを挙げた際、十分な余力を感じた。「きょうは調子がいい」。その感覚のまま、まずはスナッチを3回連続成功。続くジャークの1回目で出場選手中トップの110キロをクリアしたことで、相手の出方を見ながら優位に試合を進められた。
 度重なるけがに悩まされてきた。昨年の夏前に肋骨(ろっこつ)を疲労骨折したときは、一度気持ちが切れてしまい、2カ月以上も部活に顔を出さなかった。それでも「強くなりたい」という思いは断ち切れなかった。1月の九州選抜大会で頭角を現すと、一気に全国の頂点まで駆け上がった。
 たとえ練習でも簡単な失敗は許されない。フォームは厳しく、徹底的にチェックする。そんな質の高い空気が、諫早農の練習場には常に流れているという。この日は同階級の三丸も3位入賞。金メダルを手にできたのは「何より周りの人たちの力が大きい」という言葉は本心だ。「みんなで切磋琢磨(せっさたくま)しながら、1キロでも重い重量を取れるようにやる」。長崎県勢4年ぶりの選抜王者となった17歳は、インターハイで2冠目を狙う。

© 株式会社長崎新聞社