新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除され初の週末となった27日、神奈川県内の行楽地は多くの人でにぎわった。見頃を迎えた桜の名所は大勢の花見客で混雑し、海辺の観光地も県内外から訪れた人たちであふれた。「密」を避けながら息抜きを楽しむ姿が目立ち、飲食店などは感染対策に配慮しながら戻りつつある活気に期待した。
横浜地方気象台はこの日、桜の「満開」を発表。昨年より1日、平年より7日早いという。横浜市南区から中区の約5キロにわたり700本ほどの桜並木が続く大岡川沿いは、午前中から人波が絶えなかった。
「見える? きれいでしょう」。市内に住む男性会社員(40)はスマートフォンを掲げ、ビデオ通話で咲き誇る花々を撮影。感染を懸念して外出を控えた両親に、オンラインで花盛りの様子を伝えていた。
川面には遊覧船やパドルでこいで進む「SUP」が行き交い“交通渋滞”する場面も。客の一人は「川の上なら密を避けられる」と、いつもと違う趣を楽しんでいた。
川沿いの遊歩道には例年立ち並ぶ屋台がない一方、目立つのは「飲食を伴う宴会の自粛を」と呼び掛ける掲示。歩きながらの花見が主流とはいえ、飲食店の女性店員(25)は「花見どころでなかった昨年と比べれば、ようやく春が訪れた感じ」と久しぶりのにぎわいに安堵の表情を浮かべた。ただ「販売するメニューは絞り込んだ」といい、営業と感染予防を両立する難しさも明かした。
夫婦で川沿いを歩いていた中区の男性(73)は「桜はきれいだったが、これだけの人出があると、やはり感染がぶり返さないか心配だ」と話した。