【プロレス蔵出し写真館】私は誰でしょう? 究極の“変顔”を披露した超有名レスラー

変顔を披露するこのレスラーはいったい…(83年6月17日、新日プロ道場)

人気タレント・朝日奈央の日清食品チルド「まぜ麺の達人 台湾まぜそば」の新CMの変顔が話題だ。メーキング映像では「これオンエアできるのかな…」と言いつつ、全力で変顔を披露していた。

さて、今から37年前の昭和58年(1983年)、現在の本人からは想像もつかない秀逸(?)な変顔を披露してくれたレスラーがいた。

それは、6月17日、新日本プロレス道場でのこと。この日は合宿所にいる若手選手全員で海水浴に行く予定が、悪天候のため中止になってしまい、ベテラン勢の坂口征二、星野勘太郎、永源遙、ドン荒川、栗栖正伸も参加しての合同練習に早変わりした。

練習後のちゃんこを食べている様子を撮影していると、カメラマンへのサービスとばかり、顔をいじり始めた某レスラー。そして完成したのがこの変顔だ。

この見事な出来栄えの変顔を披露するレスラーが、誰かお分かりだろうか?

ネットで検索すると様々な「変顔のやり方とコツ」が事細かに解説されているが、この変顔をその解説に照らし合わせ検証してみよう。

・まずは自分を捨てること。自分の殻を打破して、恥ずかしさを捨てる――まさに恥ずかしさを捨てている。

・寄り目が一番やりやすいが、目の向きは正面以外でもいい――目は正面のカメラを見ているが、指でたれ目風にアレンジしている。合格だ。

・心意気が大切で、自分自身がこんなことやらなさそうと思われる顔をすること――当時はやりそう(実際やっている)だが、今は絶対(多分)しないでしょう。

・口元は開けたり閉じたり、口元は唇を意識して動かす――これも掌で微妙に変化をつけていて、絶妙だ。

・鼻は膨らませたり少し上に手で向けたりする――見事だ。

・歯は全部出すのか、上の歯3本出すのかでは、まったく印象が変わってくる――微妙に歯を見せている。さすがだ。

・眉毛も意識し、左右アンバランスにする――雰囲気が充分伝わってくる。

・顔だけではなく、手を添えたりして顔の表情を変えていく――まさに変顔の術を身に着けている。

以前、藤波辰巳も見事な変顔を見せてくれたことがあったが(さすがに辰爾になってからはない…と思う)、この選手の変顔には及ばない。

いい加減、誰なのか教えろ? ハイ、変顔を披露したのは〝格闘王〟と呼ばれる前の前田日明でした。

前田はカメラを向けると、必ず何かサービスショットを撮らせてくれた。ユニバーサル(旧UWF)へ行かされる前の前田はとてもひょうきんだったのだ。

ところで、この日、道場で前田が変顔を披露しているころ、事務所では大変なことが起きていた。

長州力がマサ斎藤、アニマル浜口と連れ立って事務所を訪れ、新間寿取締役営業本部長に辞表を提出したのだ。アントニオ猪木あての辞表には「一身上の都合により退社させていただきます」と書かれていた。

長州は5月16日の三重・津大会を無断で欠席。翌日深夜、本紙の直撃に、新日プロ脱退を申し入れたと語っていたが、それを実行したのだった。結局、20日に行われた役員会で猪木が条件付きで辞表を受理し、フリーで参戦することを求め決着した。

しかし、その後アントン・ハイセルの問題から端を発したクーデター騒動が起き、タイガーマスクの引退、選手の大量離脱騒動などなど、新プロは激動の時代に突入して行くこととなる(敬称略)。

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