36歳は代打打率10割、37歳がサヨナラ打… 今年も王者を支える“おじ鷹”たちの勝負勘

ソフトバンク・明石健志、川島慶三、長谷川勇也(左から)【写真:藤浦一都】

川島のサヨナラ打をお膳立てした長谷川は代打打率10割、明石もヒット

■ソフトバンク 6-5 ロッテ(28日・PayPayドーム)

3月28日に行われたロッテ戦で2試合連続のサヨナラ勝ちを決めたソフトバンク。この日、勝負を決めたのは37歳のベテラン川島慶三内野手だった。2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を目指す今季、昨季苦手としていた天敵・ロッテを相手に開幕3連勝という絶好のスタートを切った。

劇的な幕切れだった。1点リードの9回に岩嵜が菅野に逆転2ランを浴びて、試合をひっくり返された。だが、代打・長谷川の右前安打、今宮の二塁打、柳田の申告敬遠と繋がりを見せて満塁のチャンスを作ると、打席には川島が送られた。「柳田さんは軽く四球ですよね。誰でも分かってます。そこで首脳陣の方たちから『慶三、打ってきてくれ』と言われたので打ちました」。追い込まれながら、食らいついた打球は右翼線へ。2人の走者が生還し、サヨナラ勝ちの瞬間を迎えた。

なんとも頼もしいベテランだ。川島にとってはこの日が“開幕戦”。2戦目までは出番がなく、ようやく巡ってきた今季初出場だった。誰であっても緊張感は無くならないと言われるシーズン初の打席。それに加えて2死満塁という大チャンス。この上ないプレッシャーの中で結果を残すというのは、なかなか出来るものではないだろう。

圧倒的な戦力層を誇るソフトバンクでも傑出したベテランの存在感

決して川島だけじゃない。この開幕3連戦3連勝では、ベンチに控える頼もしいベテランたちの働きを忘れてはいけない。

その1人が長谷川勇也だ。代打の切り札として起用される36歳は、この日、9回に代打で起用され、川島のサヨナラ打をお膳立てする右前打。しかも3ボールから狙い澄ましたように右前へ運んだ。長谷川は前日にも代打で7回に起用されて左前安打。結果、得点には繋がらなかったものの、サヨナラ勝ちに繋がる流れを引き寄せる一打を放っていた。この3試合で2打数2安打。代打打率は10割と頼もしい限りだ。

この日は7回に代打として起用された35歳の明石健志も左前安打を放った。数少ない出番の中で、爪痕を残すベテランたち。「代打でいく明石くん、長谷川くん、慶三とね、出たら結果を出している。代打でいくら開幕3連戦とはいえ、100%の成績を残すのは難しい」。工藤監督も彼らの働きに目を細めている。

若手への世代交代が毎年のように叫ばれているソフトバンクの野手陣。だが、果たして、彼らほど勝負強く、ここ1番で頼れる若手がいるのかどうか。1軍で出番を掴むためには、この川島、長谷川、明石、そして先発した和田、捕手の高谷らを超えなければならない。圧倒的な戦力層を誇るソフトバンク。その土台を支えているのが、この頼もしき“おじ鷹”たちなのだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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