長崎の山中で自給自足テレワーク 「スマートビレッジ」構想始動

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スマートビレッジのイメージ図((c)Hashimoto-Yutaka2021)

 人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の技術を駆使した「未来の暮らし」の実証実験の場として、長崎市北部の山中で「スマートビレッジ」構想が動きだした。20万平方メートルに農園や住居を点在させ、住人は飲食やエネルギーを自給自足しながらテレワークをする。10月オープンを予定している。

 森に囲まれた小集落。畑の上を散水や除草を担うロボットが動き回る。物を運ぶのはドローンやカート。太陽光発電パネルを載せた住居は、地下水や雨水を浄化し利用。住むのは研究者やクリエイター、エンジニアら。農業に詳しくなくてもテクノロジーで野菜は育つ。彼らは快適な環境でクリエイティブな仕事に集中できる-。
 IT企業アドミン(同市)の山口知宏代表取締役はこんな予想図を描き、自分が真っ先に住むつもりだ。一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会(MCSCC、東京)と連携し、運営する。
 MCSCCは同市や島根県益田市など全国11地域(準備中含む)で、自治体や企業と共にスマートシティー実現を目指している。スマートシティーは、先端技術を使って環境に配慮しながら快適に暮らせる次世代都市。世界で取り組みが活発化しており、トヨタ自動車は2月、静岡県裾野市の工場跡地で居住者2千人規模の「ウーブン・シティ」建設に着手した。
 アドミンは、ながさき県民の森に隣接する長崎市琴海戸根町の山林20万平方メートルを購入。4月から農園整備を本格化する。
 同社は数年前から市内でスマート農業の研究に着手。貯めた雨水や液体肥料を自動散布する遠隔管理システムを開発し、巡回ロボットも設計中。機器を収容する「IoTコテージ」は自家発電と耐久性を備え、建設費は10万円程度で済む。スマートビレッジの住居用だけでなく、難民キャンプや被災地での活用も視野に入れる。
 山口氏は「農業をもっと効率化すれば、担い手不足問題も解決できる。ここは伸び伸びと研究開発にチャレンジできる実験場」と言い、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進に意欲を示す。国や自治体との調整を担うMCSCCの橋本剛代表理事は「さまざまな人が集まり、創造の場になれば。新しい価値観やライフスタイルを提示したい」と話している。