リモートワークのコミュニケーション術 第2回 リモートワークのコミュニケーションでは「即返信」を求めない

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コロナ禍が始まってそろそろ1年、リモートワークにも慣れる方もいる一方、環境が変わったり、一緒に働くメンバーが変わることで「リモートだとうまくコミュニケーションできない……」という悩みは尽きないものです。そんな悩みを解決するヒントとして、『リモートワーク大全』(ポプラ社刊)を上梓したシックス・アパートの広報・壽かおりさんに、「リモートワークのコミュニケーション」のコツを伺います。

非同期コミュニケーションを活用しよう

リモートワークでは相手の姿は見えません。だから、チャットで話しかけたときに相手がすぐに返信できる状態かはわからないものです。会議中かもしれないし、移動中かもしれないし、別件で急ぎの作業に追われてチャットをしばらく見られない状態かもしれません。チャットでメッセージを送ったあと即座に返事が来ることを、「毎回常に」期待するのは控えましょう。

メールと同じで、自分も別の作業をしながらそれを待てばよいのです。ただし、緊急の場合にはいつまでに回答が必要なのかは明確に伝えましょう。「なるはやで」のような曖昧な〆切ではなく、何日の何時までにと明示するのがコツです。

急ぎで返信が欲しいときは、チャットのメッセージに「急ぎです!」と明確に記載しつつ、通知を送りましょう。

「@m_tanaka さん、この原稿の確認、本日中に先方に戻す必要があります。1時間以内に確認お願いします」と伝えれば、相手のパソコンやスマホに通知が届き、別の作業中でも気付いてもらいやすいです。

「そこまで急ぎじゃない。けれど、しばらく待っても返事が返ってこない。こちらのメッセージを見落としているのかな?」ということもよくあることです。

チャットは次から次へと新しいメッセージが投稿され、過去の物はすぐにスクロールの彼方に消えていってしまうもの。そういうときは「@m_tanaka さん、リマインドです。資料提出の件、明日〆切です。お手数ですが宜しくお願いします!」と直接呼びかけ、リマインドしましょう。

会って話したり電話したりオンライン会議を行うような、その場でぽんぽんと対話が行われる同期型コミュニケーションに対して、メールやビジネスチャットのような時間差でやりとりが行われるものを「非同期コミュニケーション」と言います。

同期コミュニケーションでは互いの時間を拘束しますが、非同期コミュニケーションではそれぞれが都合の良いタイミングで返事しながら会話が進みます。

「社員の姿が見えないから、ちゃんと仕事をしているか心配だ。こちらがチャットで話しかけたときはすぐに返事をして仕事をしている姿勢を見せて欲しい」という人がいます。

それに応えるために、営業中の社員が常にチャットに即レスできる状態を求めるとしましょう。そうすると、社員は常にチャットに張りついてチェックしていないといけません。すべてのメッセージに即レスしていたら、仕事は進みません。

非同期コミュニケーションだからといって、いつまでも返信しなくて良いわけではありません。作業と作業の間には必ずチャットを確認する癖を付けて、自分宛メッセージに気付いた段階ですぐ返信することを心がけましょう。

通知が来た場合には、作業中でも通知の内容だけは横目でさっと確認。急ぎのようであれば手を止めて対応するし、そうでなければ通知だけ見てチャットは未読のままにしておいて、今の作業が終わった後の対応にしましょう。

こちらの返事に対して追加の質問が来たら、即座に返信する同期的なコミュニケーションにシームレスに切り替えられるのもチャットの良さです。相談事項を進めているうちに、チャットのやりとりよりもオンライン会議をセットして画面を見ながら話した方が、話が早いとなったら、オンライン会議に切り替えてもいいのです。

挨拶だけ送って返事を待つ必要はありません

「お疲れ様です。ひとつ、相談があります」とメッセージを送り、返事を待つ……こういった情報量の少ないメッセージはなるべく控えましょう。

このメッセージを受け取る側の気持ちとして、2つあります。

ひとつは、メッセージを通知で受け取ったときのパターンです。画面の端に「相談があります」と、一言メッセージ。「何の相談?」と思いながら、手元の作業を進めつつ続きのメッセージを待つも一向に来ない。緊急なら即返事をするけど、その判断材料が一切ない。もう仕方ないから手を止めて「何のご相談でしょうか?」とこちらから聞こうとなります。

もうひとつは、タイムラグがあってメッセージを見たときです。作業の合間にチャットを確認しにいったら「相談があります」とだけメッセージ。そのメッセージが送られてから、かれこれ1時間は経っている。「はい、何のご相談でしょうか?」と返事。そしてさらに返事を待つことになります。

メールだったらこんな風にもったいぶらず、最初の一通で本題の相談を送りますよね。メールと同じように、最初からこちらからのリクエストを送ってしまって大丈夫です。

「お疲れ様です。ひとつ、相談があります。来週のニュースに添付する画像の件ですが、ドラフトをお見せするのが金曜になりそうです。間に合いますでしょうか?」と、要件を最後まで言い切ってから返事を待ちましょう。

こまめにチームメンバーとやりとりをしながら進める必要がある業務では、常にすぐに返事が必要なこともあるでしょう。その場合は、たとえば「10時〜12時と13時〜15時には、議論や雑談などコミュニケーション優先のコアタイム」と設定するのも良いと思います。

コアタイムは、送られてきたメッセージにはできる限り即対応。それ以外の時間は自分の作業に集中できる時間、とメリハリを付けるのです。

参考書籍:『リモートワーク大全』(壽かおり著、ポプラ社刊、税込1,870円)
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、「会社に出社しない」働き方を導入し、リモートワーク・テレワークを実施する会社が増えてきている。本書は、主に一般のビジネスパーソンが、リモートワーク・テレワーク時に必要なことがすべて書かれた一冊。ツールやアプリ、会議・打ち合わせの効率的なやり方から、家族や子どもとの接し方まで、読むだけでリモートワーク・テレワークに必要なことがすべて身に付きます。

壽かおり

ことぶきかおり

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