【高松宮記念】これがアジア王者の意地 国内を制圧したダノンスマッシュが再び香港参戦へ

激烈な叩き合いの末、川田=ダノンスマッシュ(右)は浜中=レシステンシア(左)をクビ差で封じ込めた

春のスプリント王を決めるGⅠ第51回高松宮記念(中京芝1200メートル)は、直線で馬群を割って抜け出したダノンスマッシュ(牡6・安田隆)が追いすがるレシステンシアを振り切って優勝。昨年10着の雪辱を見事に果たし、悲願の国内GⅠ初制覇を成し遂げた。偉大な父ロードカナロアに続き、国内外スプリントGⅠ戴冠の偉業を達成した同馬の今後の活躍を、レース後の取材から占おう。

「馬場を考えればいい枠(14番)でした。道中は気分良く、この馬が走りたいリズムで走らせました」

鞍上の川田はレース後、馬本位で運んだことを強調している。だが、実際にはダノンスマッシュ&川田は最大のライバル、レシステンシアを常にぴったりとマークする形でレースを運んでいく。直線を向いて前を行くセイウンコウセイとレシステンシアの間にできたわずかなスペースをすり抜けると、必死に追いすがるレシステンシアをクビ差退けてVゴール。安田隆調教師が「ファインプレー」と絶賛した川田の好騎乗が、悲願の国内GⅠタイトルをダノンスマッシュにもたらした。

昨年は発馬でつまずいて10着大敗。「昨年は馬場の影響もあったとはいえ、申し訳ない結果になりました」と当時を悔やむ鞍上は、同じ轍は踏まない、とばかりにスムーズな発馬を決めた。

「ゲートでもこの馬としてはとても我慢できていました。馬が全体的に穏やかで、その分スムーズに出てくれました。道中はレシステンシアを目の前にしてリズム良く運ぶことができましたし、4コーナーでの手応えも抜群でした。直線で道ができてからレシステンシアと長く競り合う形になりましたが、意地を見せてくれて勝ち切ることができました」と快勝を振り返った。

この勝利で自身は史上9人目(現役5人目)となるJRA重賞通算100勝を達成。「多くの騎乗機会を与えてくださった関係者の皆さまに感謝します。そしてこの区切りの勝利を、師匠である安田先生と、お世話になっているダノックスで迎えられたことが本当に感慨深いです」と感謝の言葉を口にした。

安田隆調教師は「馬場状態が最悪だったので予定通り川田ジョッキーに全面的にお任せしましたが、いい結果を運んでくれました。終始リズム良く、絶妙なレース運び。直線で少し窮屈になったけどうまくすり抜けてくれて。馬もここに来て素晴らしく強くなってきましたね」と川田の好騎乗に感謝したうえで「この勝利でロードカナロアのすごさを再認識しました。今日のダノンスマッシュ、ドバイゴールデンシャヒーン2着のレッドルゼルなど、その子供たちがいい競馬をしてくれています。カナロアには感謝してもし切れないです」と厩舎のシンボル的存在にして、高松宮記念勝ち馬の先輩でもある偉大なロードカナロアに対して最大級の賛辞を贈った。

今後は馬の状態を見ながら4月25日の香港チャンピオンズデー・GⅠチェアマンズスプリントプライズ(シャティン競馬場=芝1200メートル)への参戦を視野に調整を続ける予定だ。日本を代表するスプリンターとして世界を股にかけ、父ロードカナロアを超える活躍を見せてくれるのか…。これからがダノンスマッシュ“本章”の始まりだ。

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