大手キャリアの格安新プランahamo、povo、LINEMOどう選ぶ?変更するときの注意点も解説

長らく家計削減のネックだった通信費に、大きなメスが入りました。というのも、スマホ代の引き下げが急速に進んでいるからです。NTTドコモ・au・ソフトバンクの大手キャリア3社の新プランはなんと従来の半額以下の水準。また「第4のキャリア」楽天や格安モバイルのUQモバイルなども対抗してきています。

利用者にとっては通信費削減のチャンスですが、一方で各社のプランが複雑で、乗り換え・見直ししようにもわかりにくいのも事実。
そこで今回は、各社の新プランと、乗り換え・見直しのポイントをご紹介します。


主な会社の料金プランを比較表で確認

各社のスマホの料金は、契約したデータ量の上限に応じて変わります。基本的に、データ量が大きくなるほど基本料金が高くなります。契約したデータ量を超えてもスマホを使うことはできますが、通信速度に制限がかかり、データのやりとりが遅くなってしまいます。

また、たとえば「1GBまでは○円、1GB以上使うと3GBまでは○円」という具合に、データ量に応じて段階的に基本料金が上がっていくプランを用意している会社もあります。

通話料は今回紹介する会社の場合、原則としてすべて30秒ごとに22円(税込)です。しかし、会社によっては「5分以内は無料」のところも。別途有料のオプションをつけることで一定時間(あるいは、24時間)通話無料にできる会社もあります。

それでは、主な会社の料金プランを比較してみましょう。

主な会社の料金プラン一覧

スマホ料金の値下げ競争の口火を切ったのは、NTTドコモが2020年12月に発表した「ahamo(アハモ)」です。その料金はなんと月額2,970円(税込)でデータ容量20GB+5分かけ放題。本家のNTTドコモの7GBのプラン(ギガライト)で6,765円(税込)ですから、容量2倍以上・5分かけ放題・料金半額、というわけです。まさに、衝撃の安さといっていいでしょう。そのうえahamoは海外ローミングのサービスにも対応。海外82の国・地域でデータ通信が追加料金なしで利用可能です。日本人の渡航先の約95%をカバーしているというのですから、驚きです。

もっとも、このプランを聞いたauとソフトバンクも即座に対抗してきました。もともとauにはUQモバイル、ソフトバンクにはY!mobileという格安スマホ(サブブランド)のサービスがありました。これらのサービスを値下げするとともに、ahamoに対抗するサービスを打ち出したのです。

auの「povo」(ポヴォ)はahamoより安い月額2,728円(税込)で20GB無料というプランとなっています。かけ放題はオプション(月550円(税込))ですが、「普段電話はほとんど使わない」「無料通話アプリを使って通話する」という方ならば、povoの方が安く済むでしょう。また、povoでは220円(税込)で24時間データ使い放題にできるオプションもあります。動画をたくさん見るときや、仕事で1日じゅうテザリングを利用するときなどにスポットで活用すればお得ですね。

ソフトバンクの「LINEMO」(ラインモ)もpovo同様、月額2,728円(税込)で20GB無料というプランをスタート。LINEMOでは、LINEでのトーク・音声・ビデオ通話がデータ容量の対象外となっています。つまり、LINEでのメッセージのやりとりはもちろん、LINEを利用した通話やビデオ通話、データ容量の大きな画像や動画の送信まで、データや料金を気にせずにできるのです。仮にデータ容量を使い切っていたとしても、LINEの速度は変わらないので安心で。さらに2021年夏からは、LINEスタンプも使い放題になる予定です。

このように、大手3社の新プランは料金や容量だけをみるとほぼ横並びですが、少しずつ特色が違っています。

さらに、「第4のキャリアを目指す」としてサービスをスタートした楽天モバイルもデータ使用量が1GBまでであれば0円と、大手3社とは違う特色を打ち出してきています。データ容量も20GBまでであれば2,178円(税込)、それ以上使用しても無制限で3,278円(税込)ととても安いうえ、専用の「Rakuten Linkアプリ」を使えば国内通話を無料にできます。

格安プランに乗り換える前に確認すべき2つの注意点

相次ぎ発表された格安プランをこれまでの大手のプランと比較すれば、安いのは一目瞭然です。単純に、これまで月7,000円かかっていた人が月3,000円のプランに変更すれば、月4,000円、年間4万8,000円安くなるのですから、この費用削減効果は大きいですね。

しかし、格安プランに飛びつく前に、次の2点には注意しておきましょう。

(1) 実店舗や電話サポート、キャリアメールがないことに注意
ahamoはNTTドコモ、povoはau(KDDI)、LINEMOはソフトバンクのサービスです。しかし、これまでのNTTドコモ・au・ソフトバンクと同じようなサポートが受けられるわけではありません。

ahamo・povo・LINEMOは、いずれも申し込みからサポートまですべてオンライン限定となっています。NTTドコモ・au・ソフトバンクの店舗で質問しても対応できませんし、電話で相談する窓口もありません。また、キャリアメールもないので、メールを使いたいときには外部のメールサービスのアカウントを設定する必要があります。
わからないことは、すべてウェブサイトにある情報を自分で調べて判断する必要があります。設定が苦手な人は困ってしまうかもしれません。

なお、同じ格安スマホでもUQモバイル・Y!mobile・楽天モバイルならば実店舗で質問することもできますし、電話での問い合わせも可能です。自信のない方は、実店舗や電話でのサポートが受けられる会社を選んだ方がいいでしょう。

活用している経済圏がお得に使えるなら注意

NTTドコモ、au、ソフトバンク、さらには楽天も、さまざまなサービスを展開している大企業です。各社とも、関連サービスを利用するほどポイントが貯まりやすくなったり値引きを受けられたりする「経済圏」を展開しています。

たとえば、NTTドコモを利用しているならば、NTTドコモのスマホ代をdカード GOLDで支払うことで、支払い金額の10%分のdポイントが還元されます。これに加えて、加盟店でdポイントカードを出し、d払いとdカードを組み合わせて決済する「三重どり」や、毎週金土曜日にネットショッピングのポイント還元率がアップする「d曜日」などを駆使することで、効率よくdポイントを貯められます。

しかし、NTTドコモに限った話ではないですが、こうした経済圏を使っているのに別のキャリアに乗り換えてしまったら、一部の還元が受けられなくなって、お得でなくなる可能性もあります。もし、普段利用しているサービスとの相乗効果が望めるようならば、わざわざほかの格安スマホに乗り換えないほうがいいかもしれません。そこはよく比較してから乗り換えるか否かを決めましょう。

大手3大キャリアの格安プランに変える際のその他の注意点

格安プランのahamo、povo、LINEMOへの変更は、お伝えしたとおり、自分で行う必要があります。格安プランに変更するにあたっての注意点のなかから、主なものを紹介します。

ahamoの注意点

・申込には「dアカウントの発行」「dポイントクラブへの入会」「オンライン発行dポイントカード番号登録」が必要
・d払いの残高(ドコモ口座の残高)が残っている回線をahamoに移行する場合、処理手数料が550円(税込)かかる場合がある(使い切ってからの移行がおすすめ)
・データ専用プランの場合、一度「ギガライト」などの音声対応プランに変更してからの変更となる
・請求書払いは対象外(口座振替またはクレジットカードでの支払いが必要)
・料金明細サービスを「Webでのご利用」に変更
・「イマドコサーチ」「ワンナンバーサービス」など、一部のサービスは使用不可
・未成年者は契約不可

povoの注意点

・iPhone6、iPhone7など一部端末の受付は2021年4月受付開始予定
・「ナンバーシェア」や「スマホセット割」は利用できないので事前に解除が必要
・「タブレットデータシェアプラン」などとセット契約しているauスマートフォンをpovoに変更する場合、事前に料金プランの変更が必要
・「Qua Stationプラン ds」「無線LAN STICKプラン ds」などとセット契約しているauスマートフォンをpovoに変更する場合、auショップ/au Style (店舗)にて解約の手続きが必要
・未成年者は契約不可

LINEMOの注意点

・支払いは本人名義のクレジットカードのみ(今後口座振替にも対応予定)
・スマホはSIMロック解除が必須
・Androidの端末は動作確認が取れていないものが多い
・キャリア決済には未対応(今後対応予定)
・留守番電話サービスは非対応
・光回線のセット割や家族割の対象にならない
・Apple Watchのセルラー通信に非対応
・LINEの一部サービスはデータ無制限の対象外(ニュース記事の閲覧、位置情報の共有、LINEライブなど)
・18歳未満は契約不可

【結論】どういう人が、どのプランが向いているか

以上を勘案すると、大手キャリアで新プランに変更した方がいい人は
・経済圏を活用している人
・申込からサポートまですべてオンラインで対処できる人
・上に挙げたその他注意点が問題ない人
です。これまで活用してきた経済圏を引き続き利用しながら、スマホ代を下げることができるからです。

特に現在20代後半から30代の「ミレニアル世代」、10代後半から20代前半の「Z世代」と呼ばれるような若者たちはデジタルに精通しているので、すべての手続きがオンラインでも特に困ることがないかもしれません。それであれば、新プランに変更した方が安く済むのでおすすめです。

また、格安スマホに変更したほうがいい人は
・経済圏を活用していないものの、通信費を下げたい人
・実店舗や電話でのサポートを受けたい人
となります。

格安スマホなら、おすすめしたいのはUQモバイルです。
「くりこしプランS」の場合1628円(税込)と安いうえに、余ったデータ容量は翌月に繰り越すことができます。おうち時間が増えているので、データが余ることは多くなっているのではないでしょうか。そんな方でも、使わなかったデータを無駄にしてしまう可能性を減らすことができます。

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