被爆者の素顔捉えた写真展 ナガサキピースミュージアム

下平作江さんなど、被爆者の素顔を捉えたモノクロ写真などが並ぶ企画展=長崎市、ナガサキピースミュージアム

 長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで、被爆者の素顔を捉えたモノクロ写真など計45枚を集めた企画展「閃光(せんこう)の記憶-被爆75年NAGASAKI」が開かれている。元毎日新聞写真記者の松村明さん(74)=福岡市在住=が2015年から約5年かけて撮影し、被爆体験などを聞き取った。被爆者の表情から、原爆の恐ろしさや苦悩を伝えている。4月18日まで。無料。
 長崎原爆を少しでも知ってもらおうと開き、東京、福岡に続いて3カ所目。松村さんは、妻が長崎原爆の被爆2世で約20年前から被爆遺構などを撮影している。昨年7月には同展と同名の写真集を自費出版。53人の被爆者の肖像写真と被爆体験をまとめた。同展は、そのうちの22人の写真を展示している。
 写真の説明板には原爆がさく裂した瞬間の被爆者の記憶が紹介されている。下平作江さんは当時10歳で爆心地から約800メートルの防空壕(ごう)で被爆した。兄から壕の外に出ないよう引き留められ、空襲警報が解除された後も外に出なかったが、「外へ出た友達は皆焼け死んだ」と証言している。
 写真集に収録されている西北町の被爆者、舛本佳子さん(79)も見学に訪れた。「体験を語ってこなかったから、私でも役に立つのかなと思っていた。戦争はだめということを、若い人に伝えたい」と話した。

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