【U―24】久保建英 CK正確性はすでに本田圭佑超え! 大学教授が指摘する驚異の伸びしろ

アルゼンチン相手に雪辱を果たしたMF久保建英(手前)

伸びしろは無限大――。U―24日本代表MF久保建英(19=ヘタフェ)が、29日の同アルゼンチン代表戦(北九州)で正確なCKからDF板倉滉(24=フローニンゲン)の2得点をお膳立てし、チームを3―0の快勝に導いた。そこで長年サッカー研究に携わり、現在は名門・筑波大サッカー部の部長を務める浅井武教授を直撃。〝日本の至宝〟が秘めるキックの可能性に迫った。

久保の切れ味鋭い左足キックが炸裂だ。1―0で迎えた後半23分に左CKから板倉の頭をピンポイントで狙って貴重な2点目をアシスト。さらに2―0の同28分にも左CKで正確にスペースを射抜き、再び板倉のヘッド弾につなげた。満足な出場機会を得られない所属クラブでのうっぷんを晴らすかのような活躍に「結果という形でチームが苦しい時間帯に2点目、3点目のアシストをできてよかった」と胸を張った。

今後もU―24代表の得点源として期待される左足の〝芸術的なキック〟について浅井教授はこう分析した。「キック力で言えば、元日本代表のMF本田圭佑選手(34=ネフチ・バクー)と比べると、まだ発展途上って感じはするけど〝どフリー〟で蹴らしたらほとんど遜色がない。キックの正確性だったら久保選手の方が上だと思う。元日本代表MF中村俊輔選手(42=横浜FC)の精度の高さまでいっているかどうかは分からないけど、あういう精度が求められるようなタイプだと思う」

その上で「正確性はトップレベルだけど、あとは体幹のパワーをつけてキックの種類が増えたら、なおいいと思う。まだ久保選手はミドルとカーブで巻いて狙う感じだよね。それをさらに2、3パターン持つと、なおいいと思う」と指摘した。

あえて課題も語るのは、恐るべき伸びしろを感じているから。「今はアルゼンチン代表FWパウロ・ディバラ(27=ユベントス)に近いかな。点も取るし、ラストパスも出すし、いやらしいプレーもするからね。あういう方向からより発展して、アルゼンチン代表のFWリオネル・メッシ(33=バルセロナ)やポルトガル代表のFWクリスチアーノ・ロナウド(36=ユベントス)みたいなタイプ、世界のトップレベル、トップモンスターを目指してほしい」とエールを送った。

セットプレーからいかに得点を挙げられるかが、勝敗のカギを握るのはサッカーでは常識。強豪を撃破したこの日のように〝至宝の左足〟が、目標とする金メダル獲得のカギを握るのは間違いない。4か月を切った本番へ向けて久保は「(新型コロナウイルス禍で)本番があるかわからないけど、しっかりできる準備をしていけたらいいと思う」と先を見据えた。

【キックの研究では第一人者】浅井教授はスポーツ流体工学やスポーツコーチングなどの分野を専門とし、長年サッカーの動作解析の研究にも携わっている。特にキックの研究では第一人者と評価されており、「サッカーにおけるボールキックの可視化」などサッカーに関する論文も多い。

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