『ブータン 山の教室』本当の幸せを考え直したくなる

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 世界で一番幸せな国といわれているブータンで生まれた映画です。ブータンって、インターネットが解禁になって、町の若者たちは都会に憧れ、暇さえあれば携帯をいじっている、まるで東京の若者そのもの。「いい加減、働きに出なさい!」と母親から怒られてばかりのミュージシャン志望の主人公は、ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにある実在の村ルナナの小学校へ赴任するように言い渡されます。山を越え、谷を越えて、と言いたいところですが、さすがヒマラヤ、超過酷な登山でたどり着いた村は電気も通っていないような場所。一気にやる気を失う主人公ですが、目を輝かせて勉強を楽しむ子どもたちや、親切な村人たちとの交流を通じてだんだんと変わっていきます。私たちは今、携帯電話をお守りのように肌身離さず持っていて、たくさんの情報に囲まれていますが「何もない幸せ」を改めて考え直したくなりました。

 本作に出演している子供たちは全員がルナナの子供たち。なかでも9歳の少女ペム・ザム(本人役)は本当に可愛くて純粋で、スクリーン越しに彼女の美しい魂を感じられただけで、どこか心が救われた気持ちになるほど不思議な力を持っています。子供たちの驚くほど自然な演技でまるでドキュメンタリー映画を観ているかのような気持ちになれました。

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、海外旅行に行くのも難しい日々が続いていますが、本作の監督はフォトグラファーでもあり、ブータンの雄大な自然も美しく、映画館に一歩入ればヒマラヤ山脈に旅した気持ちも味わえることでしょう。★★★★☆(森田真帆)

4月3日(土)から全国順次公開

監督:パオ・チョニン・ドルジ

キャスト:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン、ペム・ザム