世田谷区が発表 無症状者の3割強が「感染力強いタイプ」

東京都内では新型コロナウイルスの感染者数の微増が続いています。こうした中、東京・世田谷区は定期的なPCR検査を行った結果、感染させるリスクが極めて高い無症状の感染者が3割以上いたことを発表しました。

東京都内で3月26日に新たに確認された新型コロナの感染者が376人確認されました。都内では3月中旬になってから感染者数が徐々に増え続けていて、21日以降は直近7日間の平均が300人台で推移し、緊急事態宣言を解除した後に再び感染が広がる懸念が強まっています。

こうした状況の中、世田谷区の保坂展人区長が26日、会見を開き、世田谷区が高齢者施設などで行っている定期的なPCR検査についての分析結果を公表しました。区によりますと、無症状者のうち34.6%がマスクなしでの会話や会食でも簡単に感染させてしまう「感染力の強いタイプ」だったということです。そして、そのうち8割が高齢者だったことも分かりました。保坂区長は「スプレッター(=感染力の強い人)やスーパースプレッターは『若くて』『元気な』本人は症状がない高齢者に感染させる人だと思われてきた。しかし、高齢者施設で例えば自力歩行がようやくできる、あるいは誰かの支えを得ているという人の中に、症状がなくても大変な量のウイルスを抱えている人がいた」と発表しました。

世田谷区は現在、定期的なPCR検査を2カ月に1度行っていますが、今後は1カ月に1度に増やし、感染をなるべく抑えていきたい考えです。

<高齢者も「無症状でウイルス拡大」させる可能性が…>

世田谷区が今回発表した調査結果を詳しく見てみます。世田谷区は2020年10月から感染を未然に防ぎ、クラスターを抑止するため、介護施設などの職員や利用者に対して定期的なPCR検査を行っています。この検査結果を分析したところ、意外な結果が出ました。

これまで無症状の感染者というと「排出するウイルス量は少ない」「無症状の感染者は若者が多い」イメージを持っている人が多かったかもしれません。ところが、これとは異なる結果が出ました。無症状の陽性者78人のうち、27人(34.6%)の人が「マスクなしでの会話や会食で容易に感染させてしまうリスクが極めて高いレベルのウイルス量を持っていた」ことが分かりました。この「リスクが極めて高いレベル」とは0.01ミリリットル、ミストの1粒ほどの、目に見えないぐらいの大きさです。会話をしたりくしゃみ1回をしたぐらいで簡単に飛沫(ひまつ)として出てしまう量です。逆にいうと「感染させにくい人」は全体の2割程度しかいません。

さらに「リスクが高い」34.6%のうち、およそ8割が高齢者だったことも分かりました。高齢者でも、感染したことを自覚することなくウイルスを拡大させてしまうことが多いといえます。こうした人たちを早期に見つけて、クラスターを起こさせないため、世田谷区は現在2カ月に1回定期検査を行っていますが、今後は1カ月程度につき1回へと期間を短縮し、さらに東京都や民間の事業を活用してこの頻度を2週間に1回へと短縮していきたいとしています。

© TOKYO MX