「愛の不時着」制作のスタジオドラゴン最高傑作、「シグナル」誕生の秘密とは?

4月2日より、『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』が公開される。 2016年に韓国のtvNで放送され、数々の賞を受賞したドラマ「シグナル」。日本では2018年にリメイク版が放送され、今回待望の映画化となった。

「シグナル」は韓国でどのようにして生まれたのか?脚本を担当したのは日本で韓流ブームを巻き起こした「冬のソナタ」のキム・ウニ氏だ。

― 二つの時代を描いた作品は多くありましたが、それでもこの作品は視聴者に新鮮さを与え、愛されました。本作は、どのようなアイディアから生まれたのですか?

以前から、長期未解決事件を題材にドラマを書いたらどうか、という周りからの提案が多くありました。

長期未解決事件はかなり暗くて心苦しい物語が多いので、脚本の題材にするのに躊躇した部分がありました。しかも、過去の事件が現代で解決する時、過去の事件を十分に見せることができるのかも頭を悩ませる部分でした。

知り合いが「無線機を使ったらどうなの?」とアイデアをくれました。それがきっかけとなり、過去と現在の刑事たちが無線を通して長期未解決事件を解いていき、それで過去が変わるのであれば、痛みだけの事件に希望を与えることができるのではないかと思えるようになりました。

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**― 伏線が数多く張り巡らされた物語です。最初に結末までお考えになってから、書き始められましたか?
また、本作含め、緻密な構成の作品を多く手掛けられていますが、普段脚本はどのように書き進めますか?**

ドラマの中のキャラクターと企画意図が最もよく表すことができる序盤の部分は緻密に脚本を書き込み、中・後半は大体の流れだけを考えておきます。

脚本を実際書くときはキャラクターの感情の流れを設定しておくのですが、この流れに沿って、おおまかな感じだけを考えていた物語をもっと緻密に書いていく方式です。

― 脚本作りの上で、キム・ウォンソク演出家やキャストの方たちとお話しはされましたか?

キム・ウォンソク監督とも、現実的な話をしてみましょう、とよく話しました。刑事たちの間で起こりそうな事件(物語)、本当の刑事たちが悩む部分の執筆が悩みました。

― 実際の事件が元になっている事件を、どのように解決させるかお考えになるのも、非常に大変だと思いました。事件解決の糸口のアイディアはどのように考えられましたか?

実際起きた事件をモチーフにしてはいますが、そのままドラマの素材にしてはいません。どうしてもドラマですので、もっとドラマチックな物語にするしかありません。解決していく過程を作る時には、非現実的なカタルシスを出来るだけ求めますが、それでも視聴者の方の小さな慰めになりそうな終わりにしたいと努力しました。

― 登場人物たちも非常に魅力的でした。視聴者に愛されるキャラクターを作っていく上で、キム・ウニさんが大事にしたことはありましたか?

キャラクターを作る時には実際の刑事さんへのインタビューが最も大きく役に立ちました。実際に現場で活躍する強力班の刑事さん達の話のなかで、共感できた内容を結びつけ作ったのが3人のキャラクターでした。

― キャスティングについてご要望などは出されましたか?もし、「この人に演じて欲しい」と当て書きして作り上げたキャラクターがいれば教えてください。

主演キャラクターのキャスティングの時には意見を出したりもします。この作品の場合、脚本を書きながら想像したイメージが、キム・ウォンソク演出家が持っているイメージと一致して本当に嬉しかったんです。

3人の俳優も、私たちが思っていたイメージ通りのハマり役だったので、一緒にお仕事ができ本当に感謝しています。

― イ・ジェフンさん、キム・ヘスさん、チョ・ジヌンさんらはこの作品でそれぞれ演技賞を獲得されました。キム・ウニさんが生み出したキャラクターに息を吹き込んだこの3人の演技についてどう思われましたか?

イ・ジェフンさんは(プロファイラー役のため)難しい専門的なセリフが多く、事件の語りの役割もあったので色々大変だったと思います。しかし、その役割を立派にこなしてくれました。

キム・ヘスさんは、新米刑事としての生半可さと瑞々しさから、ベテラン刑事としての老練さまで、よく表現してくれました。ドラマの中の人物としてではなく、生きているチャン・スヒョンを見ているかのような気がしました。

チョ・ジヌンさんが演じたイ・ジェハン刑事は、未解決になる事件の痛みを丸ごと1人で受け入れるしかない役割がありました。辛くて悔しい長い事件を演じるのは精神的に辛かったと思います。それを耐えてくれた俳優に感謝しています。

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