MLBスカウトが注視する虎の怪物ルーキー・佐藤輝の〝外角変化球〟打ち

7回に右前打を放った佐藤輝

阪神の怪物ルーキー・佐藤輝明内野手(22)が一進一退の奮闘を展開中だ。30日の広島戦(マツダ)は、2試合ぶりの安打を7回に右前打で記録したが、その他の3打席は広島先発・森下のカーブや栗林のフォークなどに手こずり、3三振と苦虫を噛む場面もあった。

もちろん、これは誰もが通る道。井上ヘッドも「迷いとかも当然、あったりもすると思う」と佐藤輝を思いやった。オープン戦6本塁打の看板通り、ヤクルトとの開幕カード2戦目には、先発左腕・田口のスライダーを見事に捉え、プロ初本塁打をバックスクリーンへの特大弾で記録するなど現状、チームに不可欠な存在であることに変わりはない。あとはこの確率をいかに上げていけるかだ。

この春、日本球界で吹き荒れる〝佐藤輝旋風〟に「楽しみな選手が出てきた」と話すのはMBLア・リーグの某スカウトだ。「ルーキーであれだけしっかり振り切れているし、広角に打てるのも魅力的。しっかりと自分のポイントまでどんな球種でも、引きつけてからコンタクトしている」と早くも大きな期待を寄せている。

さらに同スカウトは「日本人の打者が将来、MLBで通用しそうか否かを見るうえでも、変化球をどう打つかは見ていくべきポイントの一つ」と指摘。オープン戦での佐藤輝の6本塁打はすべて直球系の球種で「最近なら大谷や筒香、昔なら松井秀喜とメジャーでも大きいのを打つ左打者は、外角の変化球を振り切った形で逆方向にもっていく。ニュアンスで伝えるのは難しいけど、バットを合わせて〝当て逃げ〟のような形でコンタクトするのではなく、速球と叩くのと同じ力感でミートして運ぶ。理想は左投手の外角スライダーを左中間から左へ。それをやられたら投手がお手上げなのは、日本でも米国でも同じだよ」と、変化球を逆方向へ運べれば松井、大谷クラスの〝本物〟になるという。

当面、打席で悪戦苦闘しそうな敵投手の変化球攻めは、プロの成功を誓う佐藤輝にとってもやりがいのある課題となりそうだ。

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