諫早・轟峡崩落「複合要因で突発的」 検討委 再発防止策など提言

ジャン委員長から提言書を受け取る宮本市長(右)=諫早市役所

 昨年7月、諫早市高来町の轟峡で、法面(のりめん)が崩壊し、2人が死亡した事故の原因究明と再発防止に関する検討委員会(委員長・ジャンイジン長崎大大学院教授、5人)は30日、「現場近くの飲食店下の石積みと擁壁への地下水浸透と、擁壁地盤の安定性低下などの複合要因で突発的に崩落した」とする提言書を宮本明雄市長に提出した。
 昨年7月25日、轟の滝に向かう遊歩道で法面が崩壊し、母子2人が死亡、子ども1人が重傷を負った。同検討委は昨年9月から5回、土質調査などを経て、事故原因を検討してきた。
 提言書を提出後、市とジャン委員長が会見。ジャン委員長は「法面崩落は昨年7月25日と、その数日後の2回発生」と指摘。市側は「7月25日、飲食店下の石積みと擁壁が崩れ、その一部が遊歩道に達した」のが原因で、(遊歩道にいたとみられる)母子3人が巻き込まれたとの認識を示した。
 再発防止対策では、豪雨時の立ち入り規制基準を定めるほか、轟峡一帯を管理する市とほかの施設管理者間の情報共有体制の強化、危険要因の把握と継続的な点検などを挙げた。
 市は2年前、擁壁にひび割れが見つかり、定期的に状況を確認していたことを説明。ジャン委員長は「ひび割れが崩壊の前兆だったか、議論が必要。豪雨後、構造物(擁壁)に力が加わり、状況が変わったのだろう。崩壊発生の予見は難しいと考える」と述べた。
 現場周辺は立ち入り禁止が続く。市は今後、崩壊場所の安全対策や再発防止対策を検討する方針。


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